「よく見かける質屋の看板が気になる。
手持ちの品を手放さずにお金を借りられるなら、使ってみたい気もするけれど…」
金融業として長い歴史を持つ「質屋」。
名前は聞いたことがあるし、何となく存在を知ってはいるけれど使ったことはない…、という方は、かなり多いだろうと思います。
決して審査が厳しくない無担保カードローンが増えた今、確かに借入先に「質屋」を選ぶべき人は減っていますが…。
それでも上手に使えば、急なピンチをしのぐ救世主となってくれるかもしれません。
今回はそんな「質屋」の利用について、必要なものや基本システムを初心者向けにまとめました。
読み進めて頂ければ、今のあなたが「質屋」を利用すべきか、もしそうならどのような準備や心構えが必要かが分かります。
目次
- 1分で分かる!質屋ってどんなところ?
- 質入れできるのはどんな品物?宝石や時計はもちろんゲーム機や楽器、電化製品もOK
- 返済までの猶予は原則3ヶ月…利息(手数料)はどれくらい?
- 質屋利用のヒント:期間内に利息を支払えば「質流れ」を延期してもらえる
- 実際に質屋でお金を借りるにはどうすればいい?来店の際には「本人確認書類」を忘れずに
- 注意!品物を手放しても構わないなら「買取」の方が高価格となりやすい
- 査定価格はお店によって異なる…少しでも高額を借りたいなら複数店舗への持ち込み検討も
- 質入れを必要としない(無担保)カードローンとの比較とメリット・デメリット
- Q:借入可能額より低い金額を借りることはできますか?
- Q:質流れの前に、質屋から連絡は入りますか?
- Q:追加で質入れ(入質)することはできますか?
- Q:質屋に行く際、予約は必要ですか?
- Q:家族の物を質入れできますか?
- 質屋でお金を借りることについてのまとめ
1分で分かる!質屋ってどんなところ?
質屋についての基本情報を簡単にまとめると、以下のようになります。
- 質屋を利用できるのは原則20歳以上の方のみ。また持ち込みには身分証明書が必要
※店舗によっては未成年者でも利用可、ただし親権者の同意が必要な可能性が高い - まずは質屋に物品を持っていき、査定してもらう。借りられるのは査定額(買取額)の8割程度のお金
→ただお金が欲しいなら「買取」の方が良い - 質入れの特徴は「原則3ヶ月以内に借入額+利息を払えば品物が戻ってくる」こと
- 返済が難しそうなら返済しなくても良い(ただし品物は質屋の物になる)
- ただし金利は無担保カードローンに比べ高いことが多い
┗最大の差別化点は「無審査」であること
例えば5万円の価値のあるバッグを質入れしたとしたなら、
- 借りられるのはその8割に当たる4万円程度
- 3ヶ月以内に4万円+利息(最大月9%/この場合は月3,600円)を返済すればバッグが戻ってくる
というわけですね。
何か質入れできそうな物品をお持ち、かつそれを「手放したくはないが、お金が必要」という場合には、貴重な金策になってくれるだろうと思います。
質入れできるのはどんな品物?宝石や時計はもちろんゲーム機や楽器、電化製品もOK
さて、「質入れ」というと一般的なのは高級腕時計や宝石、バッグなどのブランド品ですが…。
実際に質屋のHPなどを見てみると、
- ゲーム機
- パソコン
- タブレット端末
- カメラ
- ブルーレイレコーダー
- 楽器
- 古酒
など、実に多くの物が質入れされていることが分かります。
もちろんお店によって多少の違いはありますが…。
質屋は原則として「その場で売れるもの」であればかなり広い範囲で対応してくれます。
さすがに古い中古のゲームなど、値段が付かないものだと難しいと思われますが…。
目安として「1万円以上で売れそうなもの」をお持ちであれば、十分質屋を利用できる可能性があると言って良いでしょう。
★ちなみにスマートフォンを質入れできる業者もありますが、今後の生活に差し支えやすいことを考えると、よほどの状況である場合を除きおすすめはできません。
返済までの猶予は原則3ヶ月…利息(手数料)はどれくらい?
ここからは質屋での気になる返済システムについてお話しさせて頂きます。
①猶予期間までに「借入額+利息」を返せば質入れした物品は手元に戻ってくる
質屋に物品を預けると、その査定額(買取額)の8割程度の現金を、その場で受け取ることができます。このとき受け取った現金が「借入額」となるわけですね。
そして質屋における返済期限は原則として「借入日から3ヶ月」。
この期限までに「借入額+利息(後述)」を、原則として現金で支払うことができれば、質入れした物品を取り戻すことが出来ます。
…一方で3ヶ月が経っても返済が出来なかった場合には、物品は「質流れ」扱いとなり、質屋の売却対象となりますのでご注意ください。
★返済猶予期間中の物品は厳重に管理され、勝手に売却されることはありません。
★返済方法は原則として「現金の店頭持ち込み」のみとなります。
②利息は最大で「月9%」
質屋が縛られるのは、無担保カードローン等とは異なる「質屋営業法」という法律。
こちらで定められている法定上限金利は年109.5%であり、月でいうと「9%」程度にあたります。要は借入額に対し、月9%ずつ利息(手数料)が発生するわけですね。
例:質屋から5万円を1ヶ月借りた場合、月あたりの利息は最大4,500円ほど
3ヶ月借りたなら利息は計13,500円
この金利は無担保カードローンに比べかなり高いのですが…。
(参考:アコムの金利は月1.5%程度)
利用する業者や借入額によっては、より低い金利で借りられることも珍しくはないようです。
★金利は日割りではなく、月割りで掛かるのが一般的です。
「借入から1ヶ月後」に返済した場合の利息は1ヶ月分で済みますが、「借入から1ヶ月と1日後」に返済した場合の利息は2ヶ月分となりますのでご承知おきください。
(同様に1ヶ月未満で完済する場合であっても、1ヶ月分の利息を請求されます)
ただし大手「大黒屋」の場合は、「一旦質入れした品物を取り出して、貸付額を減額し再度質入れする」という方法で、実質的な繰上返済にも対応しています。(参考:公式HP)
質屋利用のヒント:期間内に利息を支払えば「質流れ」を延期してもらえる
質屋の返済猶予期間は原則「3ヶ月」。
…ではありますが、質屋の多くは「利上げ」と呼ばれる質流れの防止制度を設けています。
この「利上げ」というのは、返済猶予の3ヶ月以内に利息のみを支払うことで、返済期間を引き延ばせるというシステムですね。
例えば1ヶ月分の利息を支払えば、1ヶ月分「質流れ」を猶予してもらえるというわけです。
「利上げ」を使うと本来支払う必要のない手数料を負担することになるため、積極的におすすめできる方法ではありませんが…。
「どうしても手放したくない品があるが、すぐにはお金を用意できない」といった場合には、こういったテクニックを使ってみるのもありでしょう。
ちなみに質屋によっては、「利上げ」のみ銀行振込での入金に対応していることもあるようです。
★質屋によって制度が異なる可能性があります。事前に「利上げ」についての仕様を確認しておくことをおすすめします。
実際に質屋でお金を借りるにはどうすればいい?来店の際には「本人確認書類」を忘れずに
さて、質屋は今もほとんど昔通りの仕組みを貫いており、契約や取引の方法は原則として「店頭での対面」のみとなります。
…が、法整備(古物営業法)に伴い、現在は契約のために本人確認書類(身分証明書)の提示が必要に。
質屋へ出向く際には、以下のような書類を必ず用意しておきましょう。
- 運転免許証
- 健康保険証
- パスポート(日本国)
- マイナンバーカード
- 発行から3ヶ月以内の住民票の写し
- その他、公的機関から発行された本人確認書類
質屋を利用する上で、特に決まった「流れ」と呼べるほどのものはありません。
お店の人に質入れを利用したい旨を伝え、査定を待ち、その金額に納得できれば契約し現金を受け取る…という形になりますね。
ブックオフやハードオフ等を利用したことがあるのなら、それと似たような取引になると考えて差し支えないでしょう。
注意!品物を手放しても構わないなら「買取」の方が高価格となりやすい
先にも触れた通り、質屋から借りられるお金は査定額=買取額の8割程度となるのが一般的。
言うまでも無く、手放しても問題ない品であれば、最初から「買取」を利用した方が良いでしょう。多くの質屋は質入れと買取の両方に対応しています。
質入れを利用すべきは原則として、「手放したくない、価値ある物品を持っている」場合。
質流れはあくまで「どうしても返済が出来ないとき」の結果だとお考えください。
例:買取価格5万円のバッグの場合、
- 買取……5万円の現金を即日入手、バッグは手放すことに
- 質入れ…4万円の現金を即日入手+月最大9%の利息支払いでバッグを取り戻せる
(または質流れとし、実質4万円で売却)
★ちなみに売却に関しては、質屋より「メルカリ」などを使った方が高く売れやすいかもしれません(もちろん物品にもよりますが…)。
査定価格はお店によって異なる…少しでも高額を借りたいなら複数店舗への持ち込み検討も
質屋に持ち込んだ物品を査定するのは、その質屋の店員さん。
ですから持ちこんだお店や店員さんによって査定額が変わることは決して珍しくありません。
とにかく急いでお金を作りたい、という場合には一番近所にある質屋を利用しても構いませんが…。
できる限り大きなお金を借りたい、または質流れを想定したいという場合には、複数の質屋に来店し、査定をお願いするのもありかと思います。
特に宝石やマニアックな品、あるいは流行品等については、査定額が店員さんの知識に左右されるところも多いでしょう。
都市部であれば、「(物品名)(地域名) 質屋」などで検索すると、その物品に強い質屋情報が分かるかもしれませんね。
質入れを必要としない(無担保)カードローンとの比較とメリット・デメリット
現在、質屋よりも普及している借入方法は、無担保(預入品なし)で利用できる「カードローン」(キャッシングサービス)。
特に即日で現金を手に入れられるという意味では、アコムやプロミスといった消費者金融系が意識されるところです。
ここからは、そんな消費者金融サービスと比べた際の「質屋」の特徴についてお話しさせて頂きます。
①やはり最大の差別化点は「無審査」であること、とは言え…
質屋と消費者金融会社のカードローンを比較した上で、一番の差別化点となるのはやはり質屋は「物品が必要な代わりに、無審査である」ことでしょう。
質屋を利用する上ではそれなりの価値ある物品さえあれば構いませんので、自己破産者だろうが多重債務者だろうが何の問題もありません。
「消費者金融会社を利用できないが、質屋からなら借りられる」人が少なくないのは事実です。
…が、実際のところそこまで重篤なブラック状態(それこそ自己破産者、他社ローン滞納中など)でなければ、大手消費者金融会社を問題なく利用できる方が多いのも事実だったりします。
属性 | 契約内容 |
---|---|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
②一般的に借入金利はカードローンの方が優秀
質屋の法定上限金利は年109.5%。月あたりに換算すると、およそ9%ですね。
これに対し、各カードローンが縛られる「利息制限法」「出資法」の法定上限金利は年18%(初回契約時に一般的な、契約額10万円~の場合)。月当たりだと1.5%相当です。
先述の通り、質屋の場合であっても利用するお店や借入額によっては、法定上限金利よりずっと低い金利で借りられることも珍しくはないのですが…。
- 確実に月1.5%程度の金利で借りられる
- 利息が日割りである
(=1ヶ月と1日目に返済しても、1ヶ月と1日分の利息しか請求されない) - 大手消費者金融会社の場合、初回30日間無利息
(SMBCモビット除く/レイクALSAは60日間または180日間5万円以下無利息)
といった点を踏まえて考えると、極力損せず利用したいなら消費者金融会社の選択が無難と言えます。
③「必要なときに何度でも借りられる」利便性の意味でもカードローンの方が上か
質屋とカードローンの借入・返済システムを簡単に比較すると以下のようになります。
質屋 | カードローン | |
---|---|---|
借入方法 | その場で、物品1つに対し1度の現金融資 | 審査の結果与えられる「限度額」の範囲内で、何度でもATM等から出金 |
返済方法 | 3ヶ月以内に店頭支払い | 1ヶ月に1度、引き落としやネット、ATMなど任意の方法で分割返済※1 |
返済不能時 | 質流れのみ | 場合によっては自宅や勤務先含む催促電話※2 ブラック状態入り等 |
ご覧の通り、利便性に優れるのは明らかに「カードローン」の方。こちらは一度契約を結べば、借入額が上限に達するまで好きなタイミングで追加借入が可能です。
また、返済日は1ヶ月ごとにやってくるものの、その負担額は質屋より軽いですね。
ということで、
- 2度目の借入が必要
- 1回あたりの返済負担を抑えたい
- 返済のためにわざわざ店舗に向かうのは面倒
という場合には、カードローンを選んだ方が良いでしょう。
…が、その一方でカードローンには「毎月の負担額が軽いせいで、つい借り過ぎてしまう」といった側面も。
お金の管理に自信がないのなら、かえって明確な返済期限と「質流れ」というリスクが設けられている「質屋」を選んだ方が良いかもしれません。
また、仮に返済不能に陥っても「質流れ」以上のダメージが無いと分かっているのも、嬉しい点と言えるでしょう。
④結局、質屋を利用すべきはどんな人?
カードローンと比べた場合の「質屋」のメリットをまとめると以下のようになります。
- 無審査
- 明確な返済期限と質流れのリスクにより「必死で返済」しやすい
(=お金の管理に自信がなくても比較的利用しやすい) - 仮に返済不能に陥っても「質流れ」以上のデメリットは無い
上のメリットに魅力を感じるのであれば、カードローンよりも「質屋」の方が向いていると言えそうですね。
「即日融資を受けられる」という意味で共通する2つの借入方法ではありますが…。
それぞれに違った特色がありますので、メリット・デメリットを見比べた上で申込み先を選びたいところです。
Q:借入可能額より低い金額を借りることはできますか?
はい、可能です。
借入額が安いほど「最大月9%」の利息も安く済みますので、必要最低限のお金を借りるに越したことはないでしょう。
ただしこの場合、万が一「質流れ」となると元々の売却額との差額が大きくなり、損失が増えてしまいます。あらかじめご承知おきください。
Q:質流れの前に、質屋から連絡は入りますか?
質屋によるところはありそうですが、一般的には数日前に連絡が入ります。
スケジュール管理が苦手という場合であっても、質流れを避けたいのなら、着信に気を配っておきたいところです。
Q:追加で質入れ(入質)することはできますか?
可能ではありますが…。
「今預けている物品を引き出すために新しい物品を預ける」形になるくらいなら、どこかのタイミングで「売却」に切り替えたいところではあります。
Q:質屋に行く際、予約は必要ですか?
原則として不要ですが、
- マニアックな品の査定、質入れを希望している
- 数百万円単位の高額査定が見込まれる物品を質入れしたい
という場合には、事前連絡をおすすめします。
Q:家族の物を質入れできますか?
(少なくとも建前上は)できません。ご承知おきください。
質屋でお金を借りることについてのまとめ
- 質屋では「任意の、価値ある物品」について査定額(買取額)の8割程度のお金を借りられる
- 返済期限は原則として「3ヶ月後」。この期間までに借入額+利息(最大月9%)を返済できれば物品は手元に戻ってくる
- 消費者金融系カードローンとの違いは、
- 無審査
- 一括返済が原則
- 返済不能に陥っても「質流れ」以上のデメリットが無い
の3つ。お金の管理に自信がないならかえって質屋の選択がベターか
- 来店の際には本人確認書類(免許証、保険証など)を忘れずに!
インターネット上で契約を結べる便利なカードローンが増えた今でも、根強い支持を集める「質屋」。
カードローンより質屋の方が向いている方が少なくないのも確かですので、「価値ある物品」をお持ちであれば、新しい金策として検討してみるのも良いでしょう。
CHECK「お金がない…」金欠タイプ別5つの対策:アプリで簡単・生活見直し方法も
CHECK年収90万円フリーターでも通過!審査が甘いローンとその選び方
SNSでもご購読できます。