会社からお金を借りる従業員貸付とは?利用条件・注意点と借入までの流れ

会社からお金を借りる従業員貸付とは?利用条件・注意点と借入までの流れ

「従業員貸付制度」とは、一部の会社が導入している福利厚生制度です。

この制度を利用できれば、民間のローンよりもずっと良い条件でお金を借りることができるでしょう。
ただし借りたお金の使い道や借入可能額は、民間のローンよりも制限されている可能性があります。

今回は「従業員貸付制度」の利用条件や使い方、審査の概要などを分かりやすくまとめました。

目次

会社からお金を借りる「従業員貸付制度」とは

まずは「従業員貸付制度」の概要について解説します。

①福利厚生の一環として会社から必要なお金を借りられる

「従業員貸付制度」とは名前の通り、従業員を対象に会社がお金を貸し付ける制度を言います。

この制度は福利厚生の一環として、多くの企業に導入されています。

②借入目的は主に冠婚葬祭や医療費など

「従業員貸付制度」を利用できる範囲は、勤務先によって異なります。

ですが基本的に、「お金の使い道を証明できる書類」の提出は必須と考えてよいでしょう。

そのため借りたお金の使い道は冠婚葬祭や医療費、自動車の購入やリフォーム資金などに限られます。

③民間のカードローン等よりも非常に低金利で借りられることが多い

従業員貸付制度の金利は、お勤め先によって異なります。

ですが一般に、金利は年3%前後と非常に低く設定されていることが多いです。

上限金利が年18%である民間のカードローン等に比べると、好条件で借りやすいと言えるでしょう。

④借入可能額は勤続年数などにより変動することが多い

従業員貸付の借入可能額は、勤続年数や管理職か否かなどによって変動することが多いです。

詳細はお勤め先によって異なりますので、まずは社内規程などを確認してみると良いでしょう。

基本的には勤続年数が長い方ほど、大きなお金を借りやすくなります。

⑤一般的には連帯保証人の設定が必要

従業員貸付を利用するためには、連帯保証人の設定を求められることが多いです。

一般に、連帯保証人の要件を満たすのは「安定した収入のある、契約者とは別生計の方」となります。

連帯保証人は契約者とまったく同じ返済義務を負います。

お勤め先によっては連帯保証人の設定なしで従業員貸付を利用できる可能性があります。

⑥返済は給与からの天引きで行われる

従業員貸付制度を使って借りたお金は、毎月の給与からの天引きで返済されます。

実際に会社からお金を借りたことがある100人にアンケートをとった結果、返済期間は3~5年が36%、6ヶ月以内が18%、6ヶ月~1年が18%でした。

参考:会社からお金を借りたことがある人の実態調査

返済に数年かかるとしても、8割以上が5年以内に返済できていることがわかります。

また、返済回数の規定などはお勤め先によって異なります。

給料から天引きされるという仕様は、返済の手間がかからず延滞の心配が無いという意味ではメリットの1つだと言えます。

返済中に辞職する場合には、借入金の一括返済を求められる可能性があります。

自分の会社で「従業員貸付制度」を利用できるか確かめる方法

残念ながら、すべての会社が「従業員貸付制度」を導入しているわけではありません

この制度はあくまで任意の福利厚生制度であるためです。

お勤め先の会社が「従業員貸付制度」を導入しているか確かめるためには、「就業規則」などをご覧いただくのが早いでしょう。

就業規則は労働基準法により、閲覧しやすい場所へ提示したり、交付することが義務付けられています。

また上司や先輩に、借入の制度がないか直接尋ねてみるのも良いでしょう。

従業員貸付制度を利用する流れ

ここからは、実際に従業員貸付制度を利用する方法について解説します。

①一般的な従業員貸付の流れ

一般的な「従業員貸付」の流れは以下の通りです。

  1. 上司や経理担当に相談
  2. 申込用紙をもらう
  3. 必要書類を揃えて提出
  4. 審査
  5. 融資(振込)

融資が下りるまでに必要な日数は会社の規模などによっても変わります。

②資金使途確認書類を確保しておこう

従業員貸付を利用するためには「資金使途確認書類」、つまり借りたお金の使い道を証明する書類が必要です。

この書類は一般的に、自動車や住宅を購入する際の見積書やパンフレットなどとなります。

資金使途確認書類を用意できない場合、従業員貸付の利用は難しいと考えてよいでしょう。

従業員貸付制度の審査とは

従業員貸付制度の審査は、一般的に社内のみで行われます。

そのため個人信用情報機関への照会などは行われません。

仮に信用情報などに問題があったとしても、勤務態度や必要書類などに問題が無ければ審査に通過できることが多いです。

ただし一部の企業は、銀行などと提携した従業員向けの貸付制度を提供しています。

審査に銀行や信用金庫といった金融機関が絡む場合には、信用情報が重要となる可能性があります。

勤務先の提携ローンを利用した方の口コミ・体験談

これまで実施したアンケート調査の中に「勤務先の提携ローンを利用した」という方がいらっしゃったため、参考情報として紹介します。

属性・年収400万円
・会社員(16年)
契約内容・金利1.4%
・融資額300万円
・60回/ボーナス払いあり
お金の使い道自動車の購入
審査上の不安点
クレジットカードを複数枚持っていたので、審査の際のマイナスポイントになるのではないかと思った。
自由な口コミ・感想
数社で金利を比較したところ、一番条件が良かったので申込みをしました。勤め先の提携ローンです。
コロナ禍でしたが、ローン審査もスムーズに行え満足しています。

この方が利用したのは勤務先からお金を借りる「従業員貸付」ではなく、「勤務先と提携している金融機関が、指定の会社に勤めている人を対象に提供するローン」と推測されます。

そのため契約を結ぶためには、金融機関による審査が必要だったことでしょう。

それでもこの方は問題なく審査に通過され、金利1.4%という非常に良い条件での契約に成功されています。

このように、お勤め先によっては「従業員貸付」そのものでなくても、好条件なローンを利用できる可能性があります。

「勤務先の提携ローン」を利用する場合は、連帯保証人の設定が不要となることが多いです。

従業員貸付制度を利用できない場面と代わりの借入方法

ここからは、従業員貸付制度を利用「できない」場合とその際の対応について解説します。

①勤務先が従業員貸付制度を導入していない

従業員貸付制度の導入は義務ではありません。

特にお勤め先の企業が小規模の場合、従業員貸付の制度そのものが存在しないことは十分に考えられます。

この場合はもちろん、従業員貸付を利用することができません。

②パート・アルバイトなど従業員貸付制度の対象外

従業員貸付制度が導入されている企業であっても、その融資対象が正規雇用者に限定されていることは多いです。

この場合、パート・アルバイトや派遣社員の方などは、会社からお金を借りることができません。

また規定によっては、正社員であっても「勤続年数が短い」という理由でこの制度へ申し込めない可能性があります。

③借入可能額が必要額に満たない

特に勤続年数が短い方の場合、従業員貸付制度に定められた借入可能額が、必要な金額に満たない可能性があります。

この場合は全額、あるいは不足分を他の金融機関の利用などで補う必要があります。

④借入の目的が従業員貸付制度の対象でない

お勤め先によっては、従業員貸付制度の利用目的が「自動車の購入」「住宅の購入」などに限定されている場合があります。

またそうでなくても、「資金使途確認書類」を用意できない場合には、従業員貸付制度を利用できません。

こういった状況にある場合、他の金融機関で用途自由なローンなどを利用する必要があります。

⑤急いでお金を借りたい

従業員貸付の利用には1~2週間以上を要することが一般的です。

急いでお金を借りたい事情がある場合には不向きと言えるでしょう。

⑥連帯保証人の設定ができない

お勤め先の従業員貸付制度が連帯保証人を必要とする場合、適切な人物による協力が求められます。

ただし「生計を別にする、安定した収入のある人」を連帯保証人として設定できない場合、従業員貸付を利用することは難しくなるでしょう。

⑦用途を問わず保証人なしで利用できる主なカードローン

参考情報として、ここでは「用途自由」「保証人なし」で利用できる主なカードローンを紹介させて頂きます。

プロミス・上限金利17.8%
最短25分融資
・最短10秒で振込融資
・郵送物なしで借りやすい
・30日間無利息
アイフル・上限金利18.0%
最短25分融資
・最短10秒で振込融資
・郵送物なしで借りやすい
・30日間無利息
レイクALSA・上限金利18.0%
60日間または180日間5万円無利息
┗Web申込みの場合
最短25分融資
・郵送物なしで借りやすい
楽天銀行スーパーローン上限金利14.5%
・口座開設不要
・借入まで1週間~
三井住友銀行カードローン上限金利14.5%
・口座開設不要
・郵送物を避けられる
(要来店)
・借入まで最短1営業日
三菱UFJ銀行バンクイック上限金利14.6%
・口座開設不要
・郵送物を避けられる
(要来店・要運転免許証)
・借入まで最短1営業日
※いずれもパート・アルバイトの申し込み可

資金使途確認書類なしでお金を借りたいという場合には、こういったローンの利用を検討しても良いでしょう。

まとめ

ポイント
  • 「従業員貸付制度」を導入している会社にお勤めなら、民間のローンより好条件でお金を借りられる可能性がある
  • 一般には「資金使途確認書類」と連帯保証人の設定が必要
    また借入可能額は勤続年数などによって変動する場合がある
  • 審査は一般に社内審査のみだが、「勤務先と提携している金融機関のローン」へ申し込む場合はその限りではない

従業員貸付制度、または勤務先と提携しているローンを利用できるのであれば、一般的な銀行ローンなどに比べても好条件で必要資金を借りられます。

まずは就業規則などをご覧になって、利用できる借入制度の有無や条件を確認してみると良いでしょう。

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