「膨らんでしまったクレジットカードの債務を何とかしたいけれど、借金じゃないのに任意整理できるのかな?」
「任意整理を検討しているけれど、クレジットカードの利用には問題ないし、カードを残したまま借金を整理したい……」
任意整理を検討される理由や置かれた立場は人によってさまざま。
特にクレジットカードは利用機会が多いことから、これにまつわる疑問も多く聞かれます。
そこで今回は「任意整理とクレジットカード」を主題に
といったよくある質問とその回答をまとめました。
読み終えていただければメリット・デメリットをしっかり把握した上で、次にとるべき行動が分かります。
<そもそも任意整理とは>
前提として、任意整理とは「債務総額を変えずに、今後の金利を0%にすることによって少しずつ債務(支払い義務)を減らしていく」方法です。過払い金の請求権をお持ちの方を除き、債務、つまり支払わなければいけないお金自体を減らすことはできません。
(過払い金の請求権については「グレーゾーン金利について」のページを参照のこと)
この性質上、任意整理をおすすめしたいのは「今後、ある程度のペースで支払いをこなしていける」方に限られます。
支払い能力自体に不安がある、債務自体を減らしたい、という場合には「個人再生」「自己破産」といったより程度の重い債務整理方法を取る必要があります。あらかじめご了承ください。
CHECK債務整理について
CHECK【法テラス】できる限りお金を掛けずに自己破産を行う方法
★このページでは、任意整理について専門家(司法書士または弁護士)への依頼を前提に解説しています。
目次
クレジットカードのショッピング枠(リボ含む)は任意整理できますか?
クレジットカードのショッピング枠はリボ利用残高を含め、借金でこそないものの任意整理の対象となります。
もちろんショッピングリボのみを整理しても構いませんし、その他に借金がある場合(同じカードのキャッシング枠含む)であっても同時に依頼することは全く難しくありません。
そういうわけで、ショッピング枠(リボ含む)の任意整理は可能、というよりごく普通の事例となります。気兼ねなく相談を行ってください。
★ただし任意整理先の金融機関が増えるほど、司法書士や弁護士に支払う報酬は高くなります。
任意整理は一部を除外できると聞きました。整理後も一部のカードを使い続けることはできますか?
結論から言うと、ほぼ不可能です。
そもそも任意整理とは「専門家が債権者(金融機関やカード会社)に直接交渉し、毎月の負担を軽減してもらう」方法。
ですので、「この会社は任意整理する」「この会社は任意整理しない」と区分することは容易ですが……。
そこで問題となるのは、「特に迷惑を掛けてもおらず、任意整理の対象にも含めなかったクレジットカード」の取り扱い。
普通に考えると何の迷惑も掛けていない会社であれば、そのまま問題なくカードを使えるようにも思えます。が、残念ながら任意整理を行うと、遠くないうちに利用不可になるのがほとんど。
これは各カード会社があなたの個人信用情報(クレジットカード等の閲覧履歴)を確認し、任意整理の情報を把握すると、そのままカードを強制解約してしまうからです。
第23条(会員資格の取消)
1.当社は、会員が次のいずれかに該当した場合、その他当社において会員として不適格と認めた場合は、通知・催告等をせずに会員資格を取消すことができるものとします。
(中略)
2.本会員の信用状態が悪化したと認められるときも前項に準ずるものとします。
(三井住友カード公式HP:利用規約より)
これは「三井住友カード」の例ですが、おそらくは他のほとんどのクレジットカードに関しても、同様の規約が設けられていることでしょう。
クレジットカード会社は定期的に、会員の信用情報をチェックします。(途上与信)
その頻度は3ヶ月ごとだったり6ヶ月ごとだったりカード会社によってさまざまですが……。
債務整理から除外したとしても、遠くないうちにカードを使えなくなってしまう(強制解約されてしまう)可能性が高い点については、あらかじめご留意ください。
<注意!「任意整理から除外した契約先」でも債務整理を理由に社内ブラック扱いされる可能性あり>
一度任意整理を行うと、当時迷惑を掛けた会社と再び契約を結ぶことはほぼ不可能となります。これは金融機関の独自データ内に悪い顧客情報が記録されるからですね。
自社情報は個人信用情報機関のそれとは違い保存期間が決まっていないため、ブラック期間が明けても保有されます。(=半永久的に契約不可)
このように、契約中に問題を起こして特定の会社と二度と契約を結べなくなってしまった状態のことを「社内ブラック」あるいは「自社ブラック」等と呼ぶのですが……。
「任意整理から除外した会社から、信用情報の悪化を理由に強制解約されてしまった」場合にも、この「社内ブラック」が適用される可能性があります。
(=迷惑を掛けていないはずの会社とも、二度と契約を結べなくなってしまう)
これを防ぐためには、「任意整理の検討段階で問題なく利用できているクレジットカードやカードローンは、任意整理の手続きに入る前に、自分から解約しておく」必要があるでしょう。
例
この状態で債務整理を行うと、将来的に楽天カードも強制解約&社内ブラック登録されてしまう可能性が高い
→任意整理を行う前に楽天カードを解約しておけば、ブラック期間が明けた後にもう一度契約できる
特に「普段からメインで使っている銀行」や、多くの銀行ローンの保証業務を担当している「SMBCコンシューマーファイナンス」(プロミス)での社内ブラック入りは、何とか優先して避けたいところですね。
★任意整理を行った金融機関について、社内ブラック入りを避けることはほぼできません。
(情報をいつまで、どのように保存するかは金融機関による/原則半永久的に利用不可)
任意整理後のブラック期間中にも作れるクレジットカードはありますか?
任意整理を行うと、原則その後5年間はいわゆる「金融ブラック状態」となり、クレジットカードをはじめとする各種「後払い」契約は不可能となります。
(クレジットカードの他、各種ローンや携帯電話端末購入時を含む分割払い契約など)
が、何事にも例外はつきもの。
クレジットカードの場合、金融ブラック状態での審査通過報告が複数認められるのは「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」と「ライフ・マスターカードch」の2つとなります。
アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード(以後アメックス・ゴールド)はステータスカードとしても有名なので意外に思われるかもしれません。ただしこの会社、外資系ということもあってか審査に独自色が強いんですね。
十分な支払い能力さえ認められれば、信用情報にかかわらずカードを取得できる可能性があるようです。(ただし年会費は2万9000円+税と高額)
CHECKAmerican Express公式HP「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」
CHECKアメリカン・エキスプレス・カードの独自審査について
これに対し、支払い能力が高くなくても手に入れやすいのが「ライフ・マスターカードch」。
このカードはライフカードの公式HPでは見ることのできない非公開カードで、「通常の、年会費無料のライフカードの審査に落ちてしまった人を対象とした招待制」を敷いています。
つまり通常のライフカードの審査に落ちてしまった後、ライフカード独自の基準に引っかかればメールで個別に「ライフ・マスターカードch」の案内が届くことがあるんですね。
この際、金融ブラック状態であっても問題なくカードを取得できることは珍しくない模様。
……とは言え審査に落ちてしまった人誰もが案内を受けられるわけではないため、過信は禁物です。
また、このカードはポイントサービスなどが通常ライフカードと違いないにもかかわらず「年5000円+税」の年会費が発生します。(そのため「有料ライフカード」と呼ばれることも多い)
CHECKライフカード公式HP「ライフカード」 ※無料カードの詳細ページ
結局のところ、ブラック状態でクレジットカードを作るのは100%不可能でこそないものの、簡単であるともまた言えません。
「ライフカード」等の取得を狙ってみるのも悪手ではありませんが、やはり「デビットカード」をはじめとする無審査の、クレジットカード加盟店で利用できるカードを使うのが一般的でしょう。
CHECK無審査&銀行口座直結の「デビットカード」について
★ブラック明け(いわゆる喪明け)後に取るべき行動については、「スーパーホワイトについて」のページをご覧ください。
その他のよくある質問と回答
ここからは、その他いくつかのよくある質問についてお答えしていきます。
①任意整理の依頼先には、遠方の事務所を選んでも良いのでしょうか?
あなたが弁護士さんへの依頼を検討している場合、遠方の事務所への依頼は困難です。というのも、弁護士は債務整理の際に面会義務が設けられているんですね。(参考日本弁護士連合会公式HP)
これに対して司法書士は面会義務が無いため、遠方からの依頼も受け付けてくれることがあります。
……とは言え多額のお金が関係する契約を結ぶ以上、基本的には直接一対一で対応してくれる、近隣の司法書士・弁護士さんへの依頼をおすすめしたいところ。
あなたの街の専門家は、各都道府県に設置されている「弁護士会」「司法書士会」の公式HPから検索することができますよ。
▲▼実際の検索例。お近くの専門家を探すこと自体は容易です。
②クレジットカード付社員証の任意整理を行うと、会社にバレますか?
会社が債務者である、つまり会社が支払い義務を負っているカードだと、任意整理を隠すことは困難かと思います。
基本的には任意整理から除外することになるでしょう。ただし、その後強制解約に遭う可能性はあります。
★ケースバイケースの点が多いです。直接弁護士や司法書士といった専門家に相談されることをおすすめします。
③無職でも任意整理できますか?
原則として、任意整理は「今後も継続して支払っていくことを前提に、今後の負担を減らしてもらう」取引です。そういうわけで、債務者が無職だと任意整理に応じてもらえない可能性が高いでしょう。
債務者に支払い能力が無い場合には、自己破産を検討することになります。
CHECK【法テラス】できる限りお金を掛けずに自己破産を行う方法
CHECK生活福祉資金貸付制度について
CHECK生活保護の受給条件と申請方法
④依頼費用を一括で支払うのは難しいです。カード払いにできませんか?
先述の通り、クレジットカードは任意整理の対象に含めなかったとしても、強制解約されてしまう可能性が高いです。そのため、各事務所がカード払いに対応してくれるとは考えにくいですね。
(と言うよりそもそもカード払いのシステムを導入していない事務所が大多数)
ただし、数十万円に上ることもある費用を一括で支払える人は多くありません。多重債務者となればなおさらです。
このことから債務整理に対応している各事務所は、「依頼費の分割払い」(原則銀行振込)を受け付けてくれることがほとんどです。HPにその旨が記載されていることも多いので、確認してみましょう。
★多くの法律事務所・司法書士事務所において、依頼費(報酬)の分割払いが完了するまで、債権者(金融機関)への支払いは停止します。
つまり、一般的には「専門家への報酬が支払い終わってから、債権者に支払いを行う」という流れが取られることになります。
まとめ
★任意整理は「整理するカード」「しないカード」を簡単に分けられるものの、信用情報の悪化を理由に任意整理していないカードまで、後に強制解約処分されることは多い。
これによる社内ブラック入りを防ぐために、「債務の無い/問題なく利用できているカードは、任意整理前に解約しておく」必要がある
★ブラック状態でも作れるカードが無いわけではないものの、条件はある程度限定される。ブラック中は無審査、かつクレジットカード加盟店で利用できる「デビットカード」等を利用するのが基本か
何かとデメリットの多い債務整理(任意整理含む)。とは言え、実際に整理してみないと得られないメリットが多いのも事実です。
無料相談を受け付けている事務所も多いため、まずは一度、専門家の意見を仰いでみるのも良いでしょう。
CHECK弁護士・司法書士マッチングサービス「街角法律相談所」について
CHECK【法テラス】できる限り安価に自己破産を成功させる方法
CHECK【東京】受賞歴ありの安心感が嬉しい「はたの法務事務所」について
CHECK【東京】大手「アヴァンス法務事務所」のメリットと相談前に知っておきたい注意点
CHECK【大阪】面談必須ながら明朗会計!費用を抑えたいなら「アース司法書士事務所」が◎
CHECK【大阪】闇金トラブルに強い「司法書士エストリーガルオフィス」
★ブラック明け(いわゆる喪明け)後に取るべき行動については、「スーパーホワイトについて」のページをご覧ください。
SNSでもご購読できます。