「クレジットカードのショッピングリボを任意整理したい…」
「かさんでしまった借金を任意整理したいけれど、今使っているクレジットカードは残したい」
任意整理を希望する方の多くを悩ませる、クレジットカード周りのシステム。
結論から言うと、任意整理後は
「整理の対象としたかどうかにかかわらず、クレジットカードは使えなくなる」
「ただし一部の例外はある」
と考えて差し支えないでしょう。
そこで今回は
- クレジットカードに関する債務の任意整理
- 任意整理後、手持ちのクレジットカードはどうなるのか
- 任意整理後のブラック状態でも使えるクレジットカード
等を中心に、詳しい情報をまとめました。
読み進めていただければ、任意整理とクレジットカードに関する不安をある程度解消できるかと思います。
1分でチェック!そもそも「任意整理」って?
前提となる「任意整理」の概要について、はじめにまとめると以下のようになります。
- 任意整理とは一般に、司法書士などの専門家に、ローンやリボの債権者と交渉してもらい「今後の金利を0%にしてもらう代わりに確実な支払いを約束する」交渉を言う
(=債務そのものが減るわけではない) - 任意整理を行うと最低5年間の「ブラック状態」入りが確定する
=一部の例外を除くほぼすべてのクレジットカードへの新規入会不可
- 任意整理を行う対象は選択できるが、クレジットカードの場合は任意整理対象から外しても、追々利用停止となることが多い
- 任意整理の必要経費は、交渉先の債権者数や依頼先によって大きく異なる
┗ただし節約できる利息>報酬となるのが一般的
「任意整理」はいわゆる「債務整理」の中でも、裁判所などを通さず利用できる、あくまで私的な交渉のこと。
もっと大がかりな自己破産や個人再生に比べると、「債務そのものが減らない」というデメリットを持ちますが…。
その反面、
- 費用が安く済みやすい
- 手続きが楽
- 官報に名前が載らない
- 2回目の手続きが可能
など、メリットも多いです。
そのためカードローンやクレジットカード関連のトラブルであれば、この「任意整理」が選択されることが非常に多いですね。
クレジットカードのショッピングリボやキャッシングリボを「任意整理」したらどうなる?
それではこの「任意整理」について、ここからはもう少し具体的にお話しさせていただきましょう。
①任意整理が成功すると「支払った分だけ残債が減る」ようになる
例えばあなたが
- A社100万円(金利15%)
- B社 50万円(金利15%)
の「リボ」債務(ショッピング枠・キャッシング枠問わず)を抱えている場合…。
司法書士などの専門家に相談、任意整理の交渉が成立したなら、今後の債務状況は
- A社100万円(金利0%)
- B社 50万円(金利0%)
- 司法書士などへの報酬
となります。
一見すると報酬の分だけ債務が増えているように見えますし、「この瞬間の債務額」だけを考えればそれも正しいのですが…。
比較的安価な司法書士事務所だと、2社を任意整理したときの報酬は8万円くらい。
これに対し、
- A社で月2万円+手数料
- B社で月1万円+手数料
の支払いを続けたと想定した場合の、「本来の発生利息」の一例は、
- A社318,736円
- B社159,368円
ということで、合計478,104円。
そのため債務整理を行い、今後の金利を0%にする=上の利息を発生させずに済む場合、報酬額8万円との差額は約40万円。
つまり任意整理を行うことで実質40万円、支払額を抑えられる計算となるわけですね。
一般的に債務整理の際、残債の支払期間は長くても5年程度に設定されるため、リボ払い契約を続けていた時に比べると月当たりの負担は増える形となるかもしれませんが…。
金利が0%になる=支払った分だけ債務が減ることは、実利的な面で見ても気持ち的な面で見てもメリットが大きいはずです。
②ただし信用情報面での悪影響は避けられない
「支払った分だけ債務が減る」ということで、メリットの大きな任意整理ではありますが…。
専門家の手を借り任意整理を行ったということは、カード会社があらかじめ提示していた支払いのルールをクリアできなかったということ。
そのペナルティとして、最低5年間の「ブラック状態」入りは避けられませんのでご注意ください。
CHECK「ブラックリスト」「(金融)ブラック状態」ってどういうこと?
また当該カード会社の、半永久的な顧客記録に悪い情報が残る(=二度とそのカード会社を使えなくなる)可能性は高いです。
加えて任意整理を行ったカードは、即刻利用不可になると考えて差し支えありません。
当然、それに伴う特典やポイントサービス等も利用不可となります。
注意!クレジットカードを任意整理から除外しても、近いうちにカードは停止されることが多い
さて、任意整理はあくまで、あなたの依頼を受けた専門家と債権者(ここでは主にクレジットカード会社)が、私的に相談・交渉を行う手続きのこと。
そのため、「A社では任意整理を行うがB社では行わない」といったことも簡単にかなえられますが…。
クレジットカード会社はすでに会員になった方に対しても、定期的に審査を行います(=途上与信)。
勝手に利用可能額が増えたり、増額案内がきたりするのは、この途上与信が理由ということですね。
が、この途上与信はいつも上手く働くとは限りません。
あなたが債務整理を行うと、個人信用情報機関(=あなたの各種「後払い」の利用状況が掲載されている場所)に、その旨が記録されます。
個人信用情報機関の情報は、あらゆる金融機関の審査時に必ず確認されます。
もちろん、途上与信も例外ではありません。
この途上与信のタイミングで、あなたが債務整理を行い「ブラック状態」に陥ったことが分かったら、債務整理を行わなかったカード会社であっても利用可能枠を0円にされるなどの措置を取られることが多いんですね。
このあたりの方針はカード会社によって異なるため、何とも言えないところではありますが…。
基本的には「任意整理の対象にしなかったとしても、現在持っているクレジットカードは使えなくなる」と考えておくのが無難でしょう。
任意整理を行ったカード | 即刻利用不可に +二度とそのカード会社を利用できなくなる可能性あり※ |
---|---|
任意整理を行わなかったカード | 途上与信のタイミングで、追々利用不可となることが多い※ |
任意整理にはいくら掛かる?答えは「依頼先により大きく異なるため比較が必須」
ここからは任意整理を行う上で気になる、「専門家への報酬」についてお話しさせていただきます。
①任意整理の報酬は依頼先によって2倍以上の差がつくことも…
結論から言うと、任意整理の必要経費は依頼先によって本当にバラバラ。
2社の任意整理報酬を7万円台に抑えてくれる事務所もあれば、30万円近くを請求してくる事務所も存在します。
あくまで「私的な契約・交渉」のお話ですから、このあたりのルールは存在しません。
ただ、原則として任意整理の相談は対面形式で行われます。
そのためまずはお住まいの地域の、「任意整理」対応の複数の専門家に見積もりを取ってもらい、比較検討してみるのがベストでしょう。
見積もり程度であれば、わざわざ事務所へ行かずとも電話を通して無料で応じてくれるはずです。
ちなみに基本的には、
- 弁護士より司法書士
- 大規模な専門家グループより小規模な事務所
の方が、報酬が安く済む傾向にありますね。
参考(東京):
【天音総合法律事務所】公式HPにない債務整理の報酬料金&口コミ・評判
はたの法務事務所に聞いた!実際の報酬見積もり結果と契約の流れ
参考(大阪):
ウイズユー司法書士事務所の「債務整理」料金は大阪市内でも高い?実際に聞いてみた
新大阪法務司法書士事務所に聞いた!成功報酬を含む料金体系の詳細&契約の流れ
②高価な法律事務所(弁護士事務所)を選ぶべきはどんな人?
基本的に、債務整理の報酬は弁護士よりも司法書士の方が安価。
そのためコストを抑えたいのなら、基本的には司法書士の方を探した方がよいのですが…。
以下の状況に限っては、弁護士事務所(法律事務所)を選択肢に加える必要があります。
- 140万円を超える債務を抱えている会社に対し、債務整理を行いたい
- 金利が0%になっても返済を続けていける状況になく、自己破産等が選択肢に入る
まず(1)に関してですが、司法書士は140万円を超える債権を抱える会社に対し、任意整理を行う権限を持ちません。
そのため140万円以上を借りている会社があり、その債務を整理したいのであれば、弁護士への依頼が必須となります。
また(2)に関してですが、仮に任意整理より重い「個人再生」「自己破産」が必要となった場合、司法書士は裁判所で「代理人」の立場となる権限を持ちません。
要は専門家に丸投げができないということですね。
この場合も、司法書士より弁護士へ相談を行っていた方が、何かと有利な面が多いだろうと思います。
★ちなみに「法務」事務所は司法書士事務所(または任意整理の権限を持たない行政書士事事務所)、「法律」事務所は弁護士事務所を指します。
紛らわしい用語の混同にご注意ください。
任意整理の流れと報酬の支払いタイミング
一般的な任意整理の流れは以下の通りです。
一般的な任意整理の流れ
(報酬の見積もり含む)
報酬やその支払いについて
納得できたら契約手続き
ここで債権者からの支払い請求はストップ
調査・和解手続き
(ここまで数ヶ月)
債権者へ残債の支払い
(3~5年程度)
司法書士等の専門家と話がついたなら、まもなくクレジットカード会社からの請求も止まることでしょう。
また残債(支払い待ちのリボ残高等)の清算は、司法書士等への報酬の支払いが済んでから始まります。
例:
司法書士への報酬10万円を3ヶ月かけて支払い
→その後、残債を5年かけて支払い
★依頼先の事務所などによって、一部手続きが異なる場合があります。
任意整理から5年以内でも作れるクレジットカードはある?
任整理を行うと、最低でも5年間の「ブラック状態」入りは必至。
この間、ほとんどのクレジットカード会社と新規契約を結ぶことはできませんが…。
物事には例外があります。
ブラック状態での審査通過が確認されているクレジットカード会社は、主に以下の通り。
ライフカードdp |
|
---|---|
ACマスターカード |
|
アメリカン・エキスプレス |
|
楽天カード |
|
最も信用情報問題に寛容とされるのは「ライフカードdp」。
こちらは信用の代わりにお金を預けるという、ある意味吹っ切れたカードですね。
その性質上、任意整理どころか自己破産経験者であっても審査通過を狙えます。
ただし「ライフカードdp」は利用可能額分を事前に現金で預け入れなければならないという都合上、なかなか申込のハードルが高め。
この場合はブラックでの通過報告も多い、「ACマスターカード」あたりを選ぶのが無難そうですね。
年会費 | 5,000円 (一般カード) |
---|---|
10,000円 (ゴールド、限度額90万円以下) |
|
20,000円 (ゴールド、限度額100万円以上) |
|
還元率 | 0.5% |
国際ブランド | mastercard |
デポジット (預入金) |
|
備考 |
|
年会費 | 完全無料 |
---|---|
還元率 | 0.25% |
国際ブランド | mastercard |
備考 |
|
申込み条件 |
|
★ちなみにブラック状態でも使える「カードローン」であれば、
など多数存在します。
また、
といったカードは、完全無審査で作成可能です。
FAQ:任意整理後、家族カードやETCカードは利用し続けられますか?
親カード(本カード)が利用停止となった時点で、家族カードやETCカードも利用不可となります。
あらかじめご承知おきください。
★途上与信により、途中で親カードの利用を打ち止められた場合も同様です。
FAQ:カードローンと一緒にショッピングリボ等を任意整理することは可能ですか?
問題なく可能です。
その旨を司法書士等の専門家にお伝えください。
例:三井住友VISAカードのショッピングリボ・キャッシングリボと、プロミスのカードローンを任意整理
FAQ:任意整理によるブラック状態からは、いつ抜け出せますか?
任意整理はあくまで「私的な交渉」ゆえ、個人信用情報機関への記載についても決まったルールが存在しません。
「最低5年間」のブラック入りは確かですが、「5年間」の起点はカード会社によりまちまち。
- 任意整理の手続き開始から5年
- 任意整理の残債の清算から5年
の、どちらのパターンも考えられますのでご留意ください。
…が、実際のところは後者、つまり「残債の清算から5年」ブラック状態が残ることが多いですね。
そのため完済に5年を要した場合、任意整理を行った時から結果的に10年間、ブラック状態が続く形となります。
★自分の現在の個人信用情報を知りたい場合には、実際にJICCやCICに照会を行うことをおすすめします。
CHECK一目でわかる!個人信用情報機関:開示先の選び方、ブラック入り条件他
FAQ:任意整理よりも自己破産を選びたいのですが。
どの債務整理方法を選択するかは、専門家との相談により決定していく形となります。
金利が0%になっても返済が厳しい…という場合には、自然に自己破産(または個人再生)が視野に入ってくることでしょう。
任意整理 |
|
---|---|
個人再生 |
|
自己破産 |
|
FAQ:専門家が任意整理の交渉に失敗してしまうことはありますか?
大手クレジットカード会社や大手消費者金融、その他銀行などは問題なく「任意整理」に対応してくれることが多いのですが…。
「ブラック対応の、審査が特に甘いとされる中小消費者金融」は任意整理に一切応じないという姿勢を取っていることも多々あります。
とは言えこの場合は、当該の会社だけを省いて任意整理を行うことが可能です。
FAQ:ブラック期間中、家族に「家族カード」を作ってもらうことはできますか?
ご家族が「家族カード」対応のクレジットカードをお持ちであれば可能ですが…。
家族カードの請求は、利用明細を含め本カードと一緒に届きます。
あらかじめご承知おきください。
クレジットカードと任意整理についてのまとめ
- 任意整理とは一般に、司法書士などの専門家に、ローンやリボの債権者と交渉してもらい「今後の金利を0%にしてもらう代わりに確実な支払いを約束する」交渉を言う
(=債務そのものが減るわけではない) - 任意整理を行うと最低5年間の「ブラック状態」入りが確定する
=一部の例外を除くほぼすべてのクレジットカードへの新規入会不可 - 任意整理を行う対象は選択できるが、クレジットカードの場合は任意整理対象から外しても、追々利用停止となることが多い
- 任意整理の必要経費は、交渉先の債権者数や依頼先によって大きく異なる
┗ただし節約できる利息>報酬となるのが一般的
「ブラック入り&専門家への報酬発生」を代償に、「今後の金利を0%にできる」任意整理。
見積もりを取ってもらうくらいであれば無料で済みますので、まずはお近くの司法書士・弁護士を探してみるのも良いでしょう。
CHECK一目でわかる!個人信用情報機関:開示先の選び方、ブラック入り条件他
CHECK【2社を任意整理した体験談】掛かった費用と手続きの流れ、その後の信用情報
参考(東京):
【天音総合法律事務所】公式HPにない債務整理の報酬料金&口コミ・評判
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参考(大阪):
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