【法律から読む】生活保護下の借金まとめ:一時金の調達方法や返済の対処法

    【法律から読む】生活保護下の借金まとめ:一時金の調達方法や返済の対処法
    「病気があり、どうしても働くことができない。
    そんなときに遠方の親戚が亡くなり、葬儀に出なければいけないことに……。」

    そんなときであっても、収入や職業を偽るなどして民間の業者からお金を借りることはおすすめできません
    その理由は簡単で、「やむを得ない」状況が認められたなら、一時的に返済義務のないお金が支給される可能性があるから。
    また、一時金の支給を受けられなかった場合でも、不正受給を疑われるリスクのない「低所得者を対象とした、自治体の貸付制度」を活用できる可能性があります。

    今回は「生活保護受給に一時金が必要になった場合の対策」から「生活保護受給中にお金は借りられるのか」「返済はできるのか」「すでに借りてしまった場合の対策」など、生活保護と借金についてよくある疑問を法律に基づいてまとめてみました。
    読み終えていただければ、きっと現状を打開するヒントを手に入れられますよ!

    「やむを得ない事情」のある一時的な出費なら、支給されることもある

    「やむを得ない事情」のある一時的な出費なら、支給されることもある

    あなたがすでに生活保護を受給しており、「どうしてもやむを得ない事情があり、お金を必要としている」場合、どこからもお金を借りずにすむかもしれません。
    まずはその法的根拠を見てみましょう。

    第一一条 保護の種類は、次のとおりとする。
    一 生活扶助
    二 教育扶助
    三 住宅扶助
    四 医療扶助
    五 介護扶助
    六 出産扶助
    七 生業扶助 ※就職関連の費用
    八 葬祭扶助

    (生活保護法より)

    生活保護の受給者は医療費を自己負担しなくて良い、というのは有名ですが……。
    どうしても必要であれば、子供の教育に関する資金や葬儀に関する資金の支給を受けることが可能なんですね。(ただし塾などの習い事は必要とは認められません。)

    ただし、「葬祭扶助」の使い道はかなり限定的で、原則あなたが喪主となり葬儀を執り行わざるを得ない場合にしか支給されません

    (葬祭扶助)
    第一八条 葬祭扶助は、困窮のためふと最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
    一 検案
    二 死体の運搬
    三 火葬又は埋葬
    四 納骨その他葬祭のために必要なもの

    (生活保護法より)

    「それなら親族が亡くなっても葬儀にすら行けないのか」というと、そういうわけでもなく……。
    以下の「移送」(つまり移動)として必要と認められたなら、最低限の交通費が支給される可能性があります。

    第一二条 生活扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
    一 衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの
    二 移送

    (生活保護法より)

    このあたりの裁量は自治体や担当者によるようで、お住まいの地域やあなたの状況によっては支給が認められない可能性もありますが……。
    「親の葬儀など、必要な理由があって遠方に出向かなければならない」という場合であれば、できるだけ早くケースワーカーさんに相談するのが良いでしょう。

    ちなみに、香典代やその他の雑費は出ません。
    保護費の中から捻出するか、親族を頼るなどの方法を取ることになります。
    また結婚式は生活の上で必須ではないため、これに関する費用は一切出ないと思っておいて良いでしょう。

    ★「どうしてもやむを得ない事情(通院、葬儀など)があって、遠方へ行かなくてはならない」場合、その交通費が支給されることがあります。

    生活保護の受給中に借金はできる?

    生活保護の受給中に借金はできる?

    原則、生活保護受給中の借金はおすすめできません
    生活保護は「健康で文化的な最低限度の生活」を保証するものですから、本来生活保護の受給者は生活保護が受給される範囲でのみ、生活を営むべきなんです。

    とはいえ「お世話になった人の結婚式に出たい」など、どうしてもお金を融通したい場面はありますよね。
    そんなときの対策についてまとめました。

    ①生活保護の受給中、民間の業者からの借入をおすすめできない理由

    お金を借りる、というと消費者金融(プロミス、アコムなど)をイメージする方が多いようで、実際に生活保護受給者が収入や職業を偽り、これらの企業からお金を借りた例は多々あります。
    つまり、嘘をつくなどすればある程度までの借り入れは不可能ではないのですが……。この方法は本当におすすめできないので絶対にやめてください。

    というのも、生活保護費を借金返済に充てることは原則禁じられています。(後述のように例外はあるようですが)
    そしてあまり知られていないのですが、行政は生活保護者の、銀行口座などの利用状況を許可なくチェックすることができるんですね。

    実際に一斉調査が行われたときの厚生労働省発表。

    ▲実際に一斉調査が行われたときの厚生労働省発表。
    「金融機関本店等への一括照会」は、銀行口座の利用状況をチェックすることを指します。

    第二九条  保護の実施機関及び福祉事務所長は、保護の決定若しくは実施又は第七十七条若しくは第七十八条の規定の施行のために必要があると認めるときは、次の各号に掲げる者の当該各号に定める事項につき、官公署、日本年金機構若しくは国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第三条第二項に規定する共済組合等(次項において「共済組合等」という。)に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社、次の各号に掲げる者の雇主その他の関係人に、報告を求めることができる。

    ▲根拠となる条文。(生活保護法より)

    受給審査時を除き、一般の受給者がいちいち口座をチェックされることはありませんが……。
    突然大金が外部から振り込まれた場合などには、不正受給を疑われ振込先を閲覧されることは十分考えられます。そして悪質だと判断されれば、生活保護を打ち切られることもあるでしょう。

    その他、消費者金融などへの契約後に虚偽申告が発覚した場合には、強制解約処分からの金融ブラック入りとなることもあります。

    このように、民間の業者から嘘をついてお金を借りることはリスクが大きく、決しておすすめはできません

    CHECKすでに生活保護受給中に借金をしてしまったら

    ②借り入れたい日まで日数があるなら「自治体の低所得者向け貸付事業」を利用しよう

    それなら借り入れの方法は一切ないのか、というとそういうわけでもないんです。
    実は各都道府県は低所得者や高齢者世帯を対象として、貸付事業を行っています。
    この事業の詳細を見ていくと、生活保護の受給世帯もしっかり貸付対象と明記されていることが多いんですね。

    ここでは、大阪府の例を見てみましょう。

    福祉資金貸付について|大阪府社会福祉協議会公式HP▲▼大阪府社会福祉協議会公式HP(PDF)より。連帯借受人・連帯保証人の設定について|大阪府社会福祉協議会公式HP

    不正受給などの問題が多い大阪府では、生活保護受給世帯がお金を借りるためには収入のある連帯保証人を用意しなければならないようです。
    ただし「生活必需品等購入費用の貸付」であれば保証人なしでも借りられるとのことですので、借入の目的が「電化製品の破損」などにあるのなら、こちらの制度の利用を検討してみると良いでしょう。

    ちなみに制度の詳細は自治体によって違いがあります。
    神奈川県の場合は連帯保証人がいなくても、お金を借りられることがあるようですね。

    神奈川県社会福祉協議会公式HP1

    ▲▼神奈川県社会福祉協議会公式HPより
    神奈川県社会福祉協議会公式HP2

    金利は大阪府・神奈川県ともに「連帯保証人を付けられるのなら無利子」「そうでないなら年1.5%」とのこと。消費者金融の金利は18%程ですから、保証人を用意できなくても都道府県から借りた方がよっぽど良いことがわかります。

    もちろんこちらは都道府県に認められた上でお金を借りるわけですから、不正受給を疑われる心配は一切ありません。
    お金を必要とする明確な理由があるのなら、まずは都道府県の貸付制度をチェックしてみることをおすすめします。

    ★お住まいの自治体の制度について調べるためには、「(都道府県) 福祉貸付金」などで検索を掛けてみてください。

    ★借入には審査が必要となります。

    ★借り入れ目的として認められるものは主に「結婚を含む冠婚葬祭費」「就職や就職のための技能取得」「生活必需品の購入や修理」「子供の修学旅行費」などとなります。
    自治体によっても異なりますので、疑問点があるのならお住まいの都道府県の「社会福祉協議会」へ問い合わせてみると良いでしょう。

    ★詳しくは「生活福祉金貸付制度」のページをご覧ください。

    借金をしている状態で生活保護は受けられる?

    借金をしている状態で生活保護は受けられる?
    もしもあなたが現在借金を背負っている状況で、これから生活保護を受けたいという場合……。
    まずは借金を隠さずに生活保護を取り扱う、福祉事務所へ相談に行ってみることをおすすめします。
    というのも、借金のある方への対応は自治体や借入金額などによって変わるため、一概に「こうすべき」と断言することはできないんですね。

    実際に、「借金(あるいは任意整理の残債など)がある状況でも生活保護に通った」という人もいれば、「自己破産しなければ需給は認められないと言われた」という人も多くいます。
    生活保護の受給が認められれば自己負担なしで弁護士を通した債務整理が可能になりますので、まずは相談に行って支持を仰ぐのが良いでしょう。

    ちなみに「生活保護の受給前に自己破産をしなければならなくなったが、弁護士に依頼する費用がない」という場合には生活福祉金貸付制度を利用できる可能性があります。

    生活保護の受給中に借金は返済できる?

    生活保護の受給中に借金をしてしまった場合、あるいは債務を残して生活保護の審査に通った場合には、どのような対応を取れば良いのでしょうか?詳しく説明して行きます。

    ①税金を個人の借金返済に充てることは原則認められない……ものの法的根拠はない

    基本的に、国民の血税からまかなわれる生活保護費を個人の借金返済に充てることは認められていない、とされてはいますが……。
    この記載は生活保護法には存在しません
    というより、生活保護の受給世帯を対象とした公的貸付制度が存在する時点で、生活保護受給者が借りたお金を返してはいけないはずがないんですね。

    借金返済が条文中の「日常の需要」に当てはまるかは自治体によっても見解が分かれます。(そのため、借金があっても生活保護を受けられる地域と、そうでない地域が存在します。)
    もちろん税金を借金返済に使うことは褒められることはありませんが、借金を踏み倒すだけ踏み倒して自己破産することもまた、道理ではありません。

    結論から言うと、生活福祉金貸付制度の返済をはじめ「返せる範囲のお金は生活保護費から返すのが正解」と言えるでしょう。
    もちろん、食費をこれまでより切り詰めるなどの工夫は必要となりますが、それが「生活保護を受給しながらお金を借りる」ということです。

    ②生活保護受給中は無料で債務整理(自己破産含む)が可能なことが多い

    もしも生活保護受給中の人が到底返せないようなお金を借りてしまった場合、国の法律相談所である「法テラス」を使うことで自己負担なしに債務整理が可能となります。
    債務整理には、程度に応じ4つの種類があります。このうち「自己破産」は有名ですね。

    自己破産を行えば、あなたの借金は帳消しになります
    一般の人が利用するには大きなデメリットがありますが、このデメリットは生活保護の受給条件と重複するもの。
    そもため、生活保護の受給者は「金融ブラック状態となる」以外のデメリットについて、ほとんど気にする必要はないでしょう。

    ただし、自己破産で借金が帳消しになるのは基本的に「一生で1回」となります。
    どの債務整理方法を取るか、そもそも債務整理は必要か、という点については実際に法テラスへ相談に向かうと良いでしょう。

    ★生活保護の受給中に借金を作った場合、きちんとケースワーカーさんに正しい金額で報告してください。

    CHECK法テラス公式HP「お近くの法テラス(地方事務所一覧)」

    受給中に借金や各種支払いを滞納したらどうなるの?

    受給中に借金や各種支払いを滞納したらどうなるの?
    生活保護の受給者が借金やクレジットカード、携帯電話料金などの支払いを滞納した場合……。
    これは結論から言うと、債務整理が必要になる可能性が高いでしょう。

    というのも、生活保護の受給者に十分な支払い能力はありません。というより、十分な支払い能力のある人の生活保護受給は認められていません。
    どうしても支払えないのなら、債務整理を行うか、債権者が泣き寝入りをするほかないんですね。
    一般の世帯相手には差し押さえという方法もありますが、生活保護の受給世帯に差し押さえ可能なものはありません。(これは生活保護の受給条件とも重なります。)

    どうしても支払えないお金を請求される、という場合には法テラスへ行き弁護士へ相談してください。
    おそらくその後は債権者(貸し手)に「生活保護受給中でどうしても支払えない、近々弁護士を通じて連絡が行く」といった対応を行うことになるでしょう。

    CHECK法テラス公式HP「お近くの法テラス(地方事務所一覧)」

    ★自己破産以外の方法で債務整理を行った場合、保護費の中から支払いを行っていくことになります。

    まとめ

    まとめ

    ★葬儀費、必要と認められた移動費(移送費)などであれば、借りる必要なく「支給」されることがある
    ★収入や職業を偽って民間業者でキャッシングを利用するのは、リスクが大きすぎておすすめできない。どうしても必要なお金なら、都道府県の貸付制度を利用しよう
    ★基本的に保護費は借金返済に利用してはならないとされるものの、自治体によっては臨機応変に対応してくれることも多い。その場合は生活を切り詰めて債務を全うする必要がある
    生活保護の受給者は法テラスを無料で利用できるため、どうしても困ったら相談へ向かおう

    借金に関する失敗は一度きりであれば、自己破産という形でやり直すことができますが……。
    その場合、あなたが支払わずに済む弁護士費用は税金から捻出されることになります。
    生活保護費は自治体に認められる使い道にのみ利用してください

    CHECK生活福祉金貸付制度について

    

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