遅延損害金は速く支払うほど低額&軽ペナルティ!ブラック入りはいつから?
「いつもの引き落としに失敗してしまい、慌ててコンビニで支払ったところ、<遅延損害金>を支払うことになってしまった……。
字面の割には安かったけれど、他にペナルティはないの?」
インターネット上では「遅延損害金が発生した時点でブラック状態入り!他社の審査に通れない!」などといった記述が散見されますが……。
結論から言うとこれは誤りです。遅延損害金は延滞1日目から発生しますが、この時点で他社に延滞情報が知られることはないんですね。
実を言うと短期間・一度きりの延滞であれば、遅延損害金自体はさほど怖いものではありません。
ただし、延滞が長期にわたると、遅延損害金以上に大きなデメリットが発生することも……。
今回は「遅延損害金って何?いくらくらい発生するの?」といった疑問から遅延損害金以外の延滞デメリット、金融ブラック入りの条件や延滞をできるだけ起こさない方法に至るまでを詳しくまとめてみました。
読み終えていただければ、これまで以上にクレジットカードやカードローンを安心して使えるようになりますよ!
目次
そもそも遅延損害金って何?その概要と計算方法
まずはじめに、遅延損害金に関する基礎知識を解説していきます!
①遅延損害金とは、簡単に言うと「延滞後に発生する利息」のこと
遅延損害金と言うとなんだか大層なものに思えますが、実は「利息」と仕組みの上で大きな違いはありません。
利息とは、各種ローンなどを利用した場合に発生するサービス料のことを言います。
一方、遅延損害金とは、返済が遅れたユーザーを対象に、返済が遅れたその日から通常利息の代わりに発生するペナルティ利息のこと。
そのため、通常利息と同時に発生することはありません。
▲毎月10日を支払期日とした場合の、遅延損害金と利息の関係。
この場合、4月20日には9日分の遅延損害金を支払うことになります。(金額については後述)
遅延損害金が発生するのは、主にクレジットカード、各種ローンなどを延滞したその日からとなります。
(4月10日が支払期日だった場合、11日から遅延損害金発生。ただし、公共料金などでは猶予期間が設けられることも多い)
②ローンの場合は通常金利とさほど変わらないことが多く、罰金というほどでもない
実は、遅延損害金自体はさほど大きいものではありません。
遅延損害金は、以下の方法で計算することができます。
借入残高※×遅延損害金利率(小数)÷年間日数×延滞日数
※クレジットカードのショッピングなどの場合、支払いを延滞している金額
遅延損害金が発生しうるもの(カードローン、クレジットカードなど)では、必ず規約のどこかに「遅延損害金利率」が記載されています。
▲三井住友VISAカード公式HPより
遅延損害金利率は「年率」で表されます。例えばこの遅延損害金利率が年20%なら、「1年間延滞すると、元の借入額の20%の遅延損害金が発生する」ことを意味するわけですね。このとき10万円を1年間延滞したのなら、2万円の遅延損害金が発生します。
ただ、ここまで延滞を重ねる人は稀です。
現実的なところで遅延損害金利率(遅延損害金の金利)が14.6%のとき、10万円を3日間延滞すると……。
10万×0.146÷365×3=120円が遅延損害金として請求されます。(うるう年でない場合)
仮に30日間延滞を続けた場合でも、遅延損害金は1200円。
このように、遅延損害金自体は決して高額なものでないことが多いんですね。
……というよりも、元の金利が高めなカードローンの場合、通常利息と遅延損害金に大きな違いはないことがほとんどです。
★アコムで10万円を30日間借りた(延滞した)場合の利息・遅延損害金比較
通常借り入れ(金利18%) | 1,479円 |
---|---|
遅延損害金発生中(金利20%) | 1,643円 |
差額 | 164円 |
これは利息制限法の制限によるものなので、合法の金融機関で年20%を超える遅延損害金を請求されることはありません。
★三菱UFJ銀行「バンクイック」のように、通常金利と遅延損害金が変わらない金融機関も存在します。
③各社の設定する遅延損害金利率と、実際に発生する遅延損害金
それでは、実際に1日あたりの遅延損害金利率を見てみましょう。
★金融機関ごとの遅延損害金例(うるう年でない場合)
通常金利 | 遅延損害金利率 | 10万円/1日あたりの遅延損害金 | |
---|---|---|---|
一般クレジットカード(ショッピング枠) | 0%(一括払い) | 14.6% | 40円 |
一般クレジットカード (キャッシング枠) 消費者金融機関 | 18%程度 | 20.0% | 約54.79円※ |
三菱UFJ銀行「バンクイック」 | 上限14.6% | 14.6% | 40円 |
みずほ銀行カードローン | 上限14.0% | 19.9% | 約54.52円 |
楽天銀行スーパーローン | 上限14.5% | 19.9% | 約54.52円 |
このように1日あたりの遅延損害金はさほど大きくありませんが……。
延滞が延びるほど、延滞している金額が大きいほどに遅延損害金は増えていくことにはお気を付けください。(ただし、これは通常利息についても同様です。)
支払い延滞後から発生する遅延損害金は法律で上限が決められていることもあり、短期間の延滞であれば高額になることはありません。
遅延損害金の発生=ブラック入りは誤り!返済延滞のデメリットとは?
インターネット上では「遅延損害金が発生していると言うことはブラック入りしている可能性が高い!」といった記述が散見されますが、結論から言うとこれは誤りです。
ここからは、実際に個人信用情報機関(後述)の制度に基づいた「延滞と信用情報の関係」について紹介して行きます。
①他社から延滞情報が閲覧可能になるのは、延滞後数週間~1ヶ月程度が目安
あなたの、クレジットカードや各種ローンの利用状況(いわゆるクレヒス)は、すべて個人信用情報機関という場所に保存されています。
個人信用情報には「JICC」「CICC」「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」の3種類が存在するのですが……。
このうちほぼすべてのクレジットカード会社と消費者金融(キャッシング会社)、銀行系ローンの審査を行う「保証会社」が加盟しているのが「CIC」。
JICCでは3ヶ月以上延滞をしなければ原則悪い情報が掲載されないのに対し、このCICでは「1ヶ月ごとの利用状況」が保存・共有されています。
(KSCではより細かい未払い情報が記載されますが、閲覧・記載できるのは銀行・信用金庫等のみのため除外)
というわけで、あなたの延滞情報がCICに載った時点で他社からもあなたのマイナス情報が閲覧可能になり、今後の審査に通過しづらくなるというわけですね。
そこで気になるのが「CICに未払い情報が記載されるタイミング」ですが……。
残念ながらこちらは延滞を起こした金融機関やこれまでの利用状況によって大きく異なってくる模様。
とは言え、1ヶ月ごとの利用状況が記録される以上、延滞が1ヶ月を超えるとマイナス情報の記載を避けることは難しくなるでしょう。また、延滞が月をまたぐ場合には、数週間程度でもCICに未払い情報が記載される可能性は高くなりそうです。
ただし、逆に言うとCICにさえ未払い情報が記載されなければ、他社にあなたの延滞がバレることはありません。
CICにマイナス情報が載る前に支払いを済ませてしまえば、延滞ペナルティは決して高くない遅延損害金の支払いのみで済みます。
★金融ブラック入りとなるのは、原則延滞から3ヶ月ほどが経ってからとなります。CICに未払い情報が1つ、2つ記載されている状態では審査こそ不利になるものの、100%通過できないというわけではありません。
★CICへの記載には、最大2ヶ月ほどのタイムラグが発生することがあります。
★信用情報の開示方法については、「自分の信用情報を調べる方法」ページをご覧ください。
<ただし、利用状況や契約先によってはより短い期間で「A」マークが載る可能性も>
一般的には早くて2週間~1ヶ月程度の延滞でCICに未払い情報(「A」マーク)が掲載されると言われていますが……。
▲CIC開示情報のサンプル。この例だと、10月に未払い情報が残っていることになります。
($は入金クリア、Pは一部のみ入金を指す)。CIC公式HPより
あなたがもしもで何度も延滞を繰り返しているなど、利用中の金融機関悪印象を与えている場合には、より短い延滞期間でCICに「A」マークがついてしまうこともあります。(逆に、上顧客であれば延滞が長引いても多めに見てもらえる可能性もありますが)
思い当たることがあるのなら、一度CICの情報を開示してみることをおすすめします。(インターネット上で簡単に請求できます。)
CHECK自分の信用情報を調べる方法
ちなみに、CICの月ごとの支払い記録は2年間分記録されます。
②いわゆる「金融ブラック」状態になるのは延滞後3ヶ月から
延滞は、最悪でも3ヶ月未満には解消すべきです。
これは延滞が3ヶ月に達すると100%金融ブラック状態となってしまうから。
金融ブラック状態とは、3つの個人信用情報機関すべてで「この人は支払い義務を果たさない」という情報を共有され、ほとんどの金融機関で新規契約ができない状態のことを言います。
▲JICC公式HPより。3ヶ月以上の支払い滞納で「延滞」情報が記載されるとされています。
延滞により金融ブラック入りした場合、ブラック状態は「支払い完済から」5年間続きます。
ただし、延滞が3ヶ月に満たないからと言っても油断は厳禁。
延滞が3ヶ月に達する前に、金融機関から強制解約処分を受ける場合があります。(事前に書面で通告があります。)
この場合、延滞の日数に関わらず「強制解約処分を受けた人」としてこちらも5年間の金融ブラック入りが確定しますのでお気を付けください。
★その他、代位弁済(保証会社の建て替え:主に銀行系ローン)が行われた場合にも、ブラック状態が確定します。
★詳しくは「金融ブラックについて」「カードローン延滞後の流れ」ページをご覧ください。
支払いを延滞しないためには、どんなことに気を付ければいい?
それでは、クレジットカードや各種ローン、公共料金などの支払いを延滞しないためにはどんなことに気を付ければよいのでしょうか?
簡単にできる対策方法を紹介して行きます!
①支払い方法には「給与振込口座からの自動引落とし」を選ぼう
各種ローンや公共料金など、自動引落とし(口座振替)の設定ができるものはすべて済ませてしまいましょう。
どうしてもコンビニ払いやATM払いは支払いを忘れてしまいがち。さらに体調を崩したときなど、やむを得ず延滞を起こしてしまう可能性もあります。
引き落とし先には、原則最もお金が入っていることの多い「給与振込先」を指定すると良いでしょう。
さらに可能なら、引き落とし日を給与振込日(もしくはその翌日など)に設定できるとベストです。
★大手消費者金融は、どこも返済期日の変更が可能です。
反対にクレジットカード(アメックス系を除く)や銀行カードローンは引き落とし日が固定されていることが多いです。場合によっては、カードやローンの乗り換えも検討しましょう。
②延滞を繰り返すようなら、請求先は一本化しよう
「いろんな金融機関からバラバラに請求が来て、対応できない」という場合にはできるだけ支払日・利用金融機関の一本化を図りましょう。
クレジットカードなら最も限度額の高いもの、もしくは支払日を給与振込日後に設定できるものだけを使用することをおすすめします。
カードローンの請求が重なっているのならおまとめローンの利用を検討するのも良いですね。
CHECKおまとめ・借り換えに利用できるおすすめのおまとめローン
③返済日をお知らせするサービスなども活用しよう
多くのクレジットカード会社や大手消費者金融は、支払期日の前にメールでお知らせを送ってくれるサービスを提供しています。
どうしても給料日後に支払期日を設けられない、自動引落としが何らかの理由で利用できない、という場合にはぜひ利用を検討してみてください。
基本的には「(カード名または金融機関名) メール 返済日」などで検索すれば、公式HPがヒットするはずです。
★多くの銀行カードローンは、お知らせサービスを実施していません。返済日は自分で管理する必要があります。
返済日の指定できるカードローン(楽天銀行など)への借り換えも一考となるでしょう。
④カードローンであれば、「利息のみの返済」を行うのも手
「どうしても請求されている満額を支払えない」という場合、カードローンであれば支払額の減額が可能かもしれません。
というのも、カードローンの月々の返済額は「利息(サービス料)+あなたの借入清算に充てられるお金」で構成されています。
金融機関側からすると、利息さえ支払ってもらえればとくに損をすることはないため、支払いの減額に応じてくれることも多いんですね。
支払いを減額してほしい場合には、あなたが利用している金融機関のコールセンターへ電話をかけ、相談してみると良いでしょう。
少なくとも確認できている範囲の金融機関では、利息さえ支払えば延滞扱いなることも、CICへ悪い情報が記載されることもありません。(ただし、金融機関からの心象が悪くなる可能性はあります。)
★アコムの場合は相談せず、自己判断で利息のみの返済が可能です。
詳しくは「アコムで利息のみを支払う方法」ページをご覧ください。
すでに遅延損害金が膨らんでいるのなら、債務整理の検討も
もしもあなたがすでに遅延損害金を膨らませており、支払い不能に陥っているのなら債務整理を検討することをおすすめします。
債務整理とは、法律上で定められた債務軽減方法のこと。実行すると5年間の金融ブラック入りは確実となりますが、すでに遅延損害金が膨らんでいるのならいずれにせよブラック入りは免れられないでしょう。
債務整理の方法には「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4種類があり、弁護士や司法書士といった専門家と相談してあなたに合った措置を決めることとなりますが……。
最もデメリットの軽い「任意整理」「特定調停」を選択した場合であっても、実行すれば今後利息や遅延損害金が増えることはなくなります。
リボ払い残高や借金を踏み倒し中で、どうすれば良いかわからない……。という場合には、行政の行っている無料法律相談(法テラス)などを利用してみるのも良いですね。
CHECK債務整理について
CHECK法テラス公式HP
CHECK街角法律相談所で債務整理に強い専門家を探す
まとめ
★遅延損害金は支払い延滞が発生したその日から請求される!ただし1日当たりの金額は決して大きくない
★遅延損害金の発生=ブラック入りは誤り。実際のところは「延滞数週間~1ヶ月程度でCICにのみ未払い情報の記載」「延滞3ヶ月で確実にブラック入り」
★各支払いを滞納しないためには、できるだけ給料日の直後に請求を集中させよう!
★すでに遅延損害金が膨らみ、債務を持て余しているのなら専門家への相談を検討しよう
短期間の延滞であれば、さほど気にすることはありませんが……。
滞納期間が延びるに従い遅延損害金も増え、個人信用情報へあなたの悪い情報が記載されることは避けられなくなります。
延滞はできる限り短い時間で解消できるよう努めましょう。
★カードローン延滞後の詳しい流れについては「カードローンの支払い延滞について」ページをご覧ください。
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