【借金踏み倒し方法】債務整理VS放置・夜逃げ!それぞれのデメリットは?

    【借金踏み倒し方法】債務整理VS放置・夜逃げ!それぞれのデメリットは?

    この記事の監修者
    飯田道子先生/ファイナンシャルプランナー (CFP認定者・1級FP技能士)
    Financial Planning Office Paradise Wave代表。著書『貯める!儲ける!お金が集まる94の方法 』(ローカス)他多数。

    「積もりに積もった借金で生活が厳しい!もう踏み倒してしまいたい……」

    そんなあなたのために用意されている、真っ当な踏み倒し方法「債務整理」
    有名なものは借金が帳消しになる「自己破産」ですが、より程度の軽いものも存在します。

    とは言えこの債務整理、「弁護士や司法書士に支払うお金がもったいない」「めんどくさい」という理由で何となく避けられやすいもの。
    そのため「債務整理以外に、踏み倒す方法は無いの?」という声があちこちで聞かれますが……。
    「デメリットが大きすぎておすすめできない」というのが、この疑問に対する答えとなるでしょう。

    今回は「支払えない借金を何とかしたい」というあなたに向けその「真っ当な」あるいは「真っ当じゃない」踏み倒し方法と、債務整理以外の方法を選んだ場合のデメリット等をまとめました。
    読み終えていただければ、あなたが今後どういった行動を取るべきか分かりますよ。

    ★「借入を一本化すれば、支払いを続けられそう」という場合には「おまとめローンについて」のページをご覧ください。
     この記事は、おまとめローンの審査に通らない、あるいは一本化したとしても支払いが難しいという方を対象としています。

    借金の「真っ当じゃない」踏み倒しが難しいと言える3つの理由

    借金の「真っ当じゃない」踏み倒しが難しいと言える3つの理由
    借金の踏み倒しとは「契約を反故にする」行為です。
    刑法には触れないため逮捕されることはありませんが、民法に触れるので訴えられると必ず負けます

    正義は貸し手(主に金融機関)にあるため、法律や裁判所は当然そちらに味方します。
    以上を前提として、それでも借金を踏み倒そうとした場合には一体どうなってしまうのでしょうか?
    簡単にまとめました。

    ①時効は簡単にストップさせられる

    貸し手が業者(消費者金融会社、クレジットカード会社、銀行他)である場合、債務(支払い義務)の時効は5年間です。
    (個人が相手なら10年間)
    これくらいの期間なら何とか踏み倒せそうにも思えますが……。
    実はこの時効というのは、裁判所を通し請求を行うことで、簡単にストップさせられるもの。

    踏み倒しを決行しようとする利用者に対し、金融機関は容赦なく時効を中断させてきます。
    単に知らんふりをするというだけで時効を成立させるのは、ほぼ不可能と言っても良いでしょう。

    CHECK借金の時効成立条件とその援用について
    CHECK債務整理以外の踏み倒し方法2:今後何の契約も出来ないことを覚悟して逃げる

    ②原告(金融機関)があなたの情報を手に入れるための手段は多い

    「裁判所を通した請求のせいで時効が止まるなら、その請求を出せないよう引っ越せばよいのでは?」と考える方は多いです。

    ただし、ここで気になるのが住民基本台帳(住民票)の存在。
    というのも、債権者(貸し手)は債務者の住民票を開示する権利を持つんですね。

    第十二条の三 市町村長は、前二条の規定によるもののほか、当該市町村が備える住民基本台帳について、(中略)当該申出を相当と認めるときは、当該申出をする者に当該住民票の写し又は住民票記載事項証明書を交付することができる。

    一 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために住民票の記載事項を確認する必要がある者
    (住民基本台帳法より)

    債権者(貸し手)が貸したお金を取り返そうとするのは、言うまでもなく「自己の権利の行使」です。
    というわけで債務者(借り手)が引っ越しを行っても、住民票の開示により現住所は簡単に割られてしまいます

    他にも裁判所の特権を使った「調査嘱託」、弁護士の特権を使った「弁護士照会」といった制度も設けられており、こちらを使えば預金通帳などから情報を割り出すことも可能。
    相手が金融業者の場合にここまでやるかはさておき、これらの制度により住民票の住所に住み続ける限り、何度引っ越しを行っても逃げ切ることは困難でしょう。

    CHECK住民票を置いたまま別の町に逃げたらどうなる?

    ③いくら逃げても差し押さえ命令が出ればそれまで

    民事裁判を起こすのに必要な被告の情報は、「氏名」と「住所」。
    この2つが相手方に知られているのなら、いつ訴訟を起こされてもおかしくありません。

    訴訟を起こされた場合、裁判所から「○月×日に裁判を行うから、出廷してほしい」という通達が、郵送にて届きます。
    最初にお話しした通り、悪いのは契約を反故にした方ですから債務者に勝ち目はありません。

    が、ここで出廷しないと事態はより悪化します。
    この場合、債権者(主に金融機関)の言い分だけが認められ、多くの場合で差し押さえが実行されることでしょう。
    差し押さえの対象は債務者の財産や借金の金額によって変わりますが、多くの場合は預金「今後の給与」です。
    (もちろん車や土地などが没収されることもあります)

    今後の給与が差し押さえの対象となる以上、「差し押さえられる財産が無い」という言い分は滅多に通りません。
    (可能性が無いわけではないですが……)

    つまり、裁判所からの通達を無視するのは絶対にNG。
    と言うよりも、訴えられる前に何らかの行動をとりたいところです。

    CHECK差し押さえについて

    ちなみに、裁判に出れば分割払いの権利が認められることが多いようですね。
    この後きちんと支払いを行っていけば、差し押さえは実行されません。

    …とは言え一般に、遅延損害金利率(=延滞中に適用される金利)は通常の借入時よりも高いですから、やはり最初から延滞を起こさないに越したことはありませんし、延滞をするにしてもその期間が短いに越したことはないでしょう。

    正当な踏み倒し方法、「債務整理」について

    正当な踏み倒し方法、「債務整理」について

    ここまで解説してきた通り、真正面から借金を踏み倒すことはほぼ不可能です。

    とは言え、人生には失敗がつきもの。
    一度の失敗でその後の人生が台無し……といった事態を防ぐために、日本には「債務整理」というシステムがあります。

    これを使えば、大手を振って借金の返済負担を軽減あるいは帳消しが可能。
    「真っ当」な借金の整理法とだけあって、後腐れしづらく金融機関とのやり取りもスムーズで、何より訴えられたり差し押さえに遭ったりすることがありません

    債務整理には4つの分類(任意整理、特定調停、個人再生、自己破産)があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

    ★主な債務整理方法
    任意整理
    • 借入額自体は減らないが、交渉により主に「金利を0%にしてもらう」ことで負担軽減を狙う
    • 他の方法より低コストでデメリットも小さい
    特定調停
    • 専門家ではなく裁判所を通し、原則として「自力で交渉」し行う任意整理。
      任意整理より安価で済むが、労力も知識も要求されるので選択されることは少ない
    個人再生
    • 住宅ローンだけを残して借金を圧縮する。自宅を守りたい場合に採用
    自己破産
    • めぼしい財産すべてを手放す代わりに借金を帳消しにする

    このあたりは専門家(弁護士または司法書士)と相談の上で、あなたに合った方法を決めることになるでしょう。
    もちろん債務整理のためにある程度の費用は掛かりますが、分割での後払いに対応してくれることがほとんどです。

    行政の法律相談サービス「法テラス」を使えば無料で専門家に相談ができる上、依頼費も安く済むため、こちらを利用してみるのも良いでしょう。
    ただし、一般の法律事務所に比べると予約から相談までに時間が掛かる上、収入制限があります。

    CHECK法テラス公式HP
    CHECK消費者金融の借金:債務整理したら事故情報が残る?時効はいつ?
    CHECK【2社を任意整理した体験談】掛かった費用と手続きの流れ、その後の信用情報

    債務整理以外の踏み倒し方法には何がある?

    債務整理以外の踏み倒し方法には何がある?
    手間も費用もゼロとは行かない「債務整理」。
    ですが、借金を単に放置しているだけでは差し押さえの憂き目を見ることになりかねません。
    それでも、例外が全く無いわけではないでしょう。
    ここからは「<債務整理以外の>踏み倒し成功シチュエーション」について考えていきます。

    ①差し押さえができないような生活状況である場合

    日本国憲法は、すべての日本国民に「健康で文化的な、最低限度の生活」を保証しています。
    これを示す代表的な例が、生活困窮者を対象とした生活保護制度ですね。

    この生活保護受給者、あるいはそれに近い状況の方を相手取り、差し押さえを行うことはできません
    どうやっても「無いものは取れない」というわけです。

    とは言え、生活保護を受給できるのは「最大限の努力をしても、自力で生活を維持するのが難しい」人。
    あなたが現在健康で、お金を稼ぐ能力を持っているのなら、「差し押さえ不可」と認められることはまず無いでしょう。

    CHECK生活保護の申請について

    ②今後何の契約も出来ないことを覚悟して逃げた場合

    さて、それなら他にどういった方法があるかというと、他に考えられるのは「住民票を移さずに逃げる」というもの。いわゆる夜逃げですね。

    当然、デメリットは非常に大きいです。
    住民票を移せないのなら運転免許の取得・更新も、選挙に行くことも難しくなります。
    自然と住民税などの税金を滞納することにもなり、債務は増えていくことでしょう。
    そして個人信用情報機関の「延滞」情報も消えないため、金融ブラック状態からの脱出もできません

    完全に逃げ切ることができれば、時効を成立させられる可能性が無いわけではないですが……。
    やはり勤務先をはじめとする多くの場所で軋轢が生じやすく、引っ越し費用も掛かります。

    働くことが難しいのなら生活保護を取り扱う社会福祉協議会への相談、そうでないなら債務整理を行うのが、結局のところ「平和的解決」方法となるでしょう。
    「夜逃げ」を行い、行方不明扱いとなることは決しておすすめできません。

    CHECK借金の時効成立条件とその援用について

    FAQ:海外に引っ越した場合、既存の債務や借金はどうなりますか?

    さすがに金融機関側が海外まで催促を行うことは難しいでしょうから、結果的に時効の援用を成功させられる可能性も高くなる…かもしれません。
    が、時効更新(中断)には「相手方の住所がわからない場合、役所などに2週間公示したことで相手側に届いたものとする」制度(公示送達)がありますので、これを用いられた場合にはいずれにせよ厳しいですね。

    CHECK簡単チェック!カードローン消滅時効の援用条件:現状確認の方法は?

    また「借金を抱えて飛ばなければならない」状況にある方が、

    • 海外への移住関連費用を用意できるか
    • 滞在許可を難なく取れるか

    については疑問が残るところではあります。

    FAQ:結婚などにより氏名が変わった場合、踏み倒しができると聞いたのですが?

    氏名変更などにより、個人信用情報を追跡できなくなることは確かに存在しますが…。
    最近は新しく審査を受ける際などにも、旧姓の記入を求められることは多いです。
    また旧姓・新姓は住民票の開示によっても確認可能となっていますね。
    (=債権者が住民票の開示を行えば、氏名が変わっても本人だと確認できる)

    つまり「氏名変更などにより逃げ切れる人が一切いないわけではないが、それに期待できるほど確実な方法ではない」ということですね。
    氏名が変わったから逃げ切れる…とは思わない方がよいでしょう。

    まとめ

    まとめ

    ★借金の負担を軽くする、真っ当な方法は「債務整理」のみ。費用や手間は掛かるが結局はこの方法が一番スムーズかつ安全
    ★無理に踏み倒そうとすると、今後の給与までもを差し押さえられかねない。裁判所からの郵便は絶対無視しないで!
    ★住民票を置いたまま逃げ、「住所不明」となれば時効を成立させられる可能性がないではない。
    ただし生活に多大な支障が発生する上、成功できる可能性も低いため、まずおすすめはできない

    借りたお金を返すことは契約者の義務ですから、これを果たさずに逃げ切ることは簡単ではありません。
    現実的な方法は、やはり債務整理です。
    法テラスなどを使えば費用も抑えられますので、まずは相談の予約を取ってみることをおすすめします。

    CHECK借金の時効成立条件と時効援用手続き:督促状で時効はストップしてしまう
    CHECK消費者金融の借金:債務整理したら事故情報が残る?時効はいつ?

    監修者からのコメント
    飯田道子先生 飯田道子先生
    ファイナンシャルプランナー (CFP認定・1級)

    こっそり借金を踏み倒そうとしても、必ずバレてしまい、かえって罪が重くなるだけです。また、上手く逃げ切れたとしても、今まで通りの人生を送ることはおろか、この先も日向の道を歩くことはできなくなってしまいます。
    どうしても借金返済が苦しくなったときには、まずは弁護士や司法書士などに相談してみましょう。場合によっては債務整理ができる可能性がありますし、初回は無料で相談に乗ってくれる事務所がほとんどですよ。

    

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