パターン別!法律から見る「名義貸し」リスク:自動車・賃貸・ローン・携帯電話他

パターン別!法律から見る「名義貸し」リスク:自動車・賃貸・ローン・携帯電話他
「訳あって、私の名義を使って契約したいと相談を受けた。
できるものなら力になりたいけれど、罪に問われたり責任を負わされたりといったリスクが無いか不安……」

結論から言うとその使い道を問わず、名義貸しを行うことは全くもっておすすめできません
理由は簡単で、いわれのない責任を負うことになる可能性が高いから。
どうしてもという場合には、連帯して責任を負う覚悟の上で同意することになりますが……。
その内容によっては詐欺罪をはじめとする理由で、あなたに刑事罰が下ることも十分に考えられます。

今回はそんな「名義貸し」について、パターン別の危険性を法律上の観点からまとめました。
読み終えていただければ、あなたが置かれている状況とリスク回避の方法が分かります。



パターン別!名義貸しのリスクとその根拠

一口に名義貸しといっても、その内容は様々。
そこで今回は6パターンの名義貸しについて、個別に法律上の問題点や危険性をまとめました。

CHECK自動車ローン・消費者ローン等の名義貸し
CHECK賃貸契約の名義貸し
CHECK事業主・会社の代表等としての名義貸し
CHECK携帯電話の名義貸し
CHECK銀行口座等の名義貸し(口座売却)
CHECK各種資格や免許等を用いた名義貸し

①自動車ローン・消費者ローン、クレジットカード等の名義貸し

「名義貸し」に関する相談で、最も多いのはローン関連(自動車ローン、カードローン等)でしょう。
これは金融ブラック状態、あるいは定職に就いていない等の理由でローンを組めない人が、第三者に「名義貸し」を依頼するパターンですね。
典型的なトラブル例としては「必ず返すからと言われたので軽い気持ちで引き受けたら、音信不通になった」というものが挙げられます。

言うまでもなく、ローンの請求は名義人相手に行われます。なぜなら「借りたお金をきちんと返す」という契約を結んだのは、名義人以外の何者でも無いからですね。
名義を貸した相手が失踪したり、返済を差し止めた場合に、名義を貸した人が泣きを見ることはほぼ避けられません。

例:金融ブラック状態のAさんが、友人Bさんに自動車ローンの「名義貸し」を依頼。
Bさんが自動車ローンの審査に通過し、購入した車をAさんに与えたところ、Aさんが失踪。
このときBさんは車の行方すら分からない状態で、ローンの支払い義務を負うことになる
(法的にはAさんが買った車をBさんに貸した扱い。カードローン等であっても同様)

  • 名義を貸した人と、借りた人の間で契約書などを交わしていた
  • あなたの支払いにより、相手方が利益を得たと証明できる状況にある(専門家への相談はほぼ必須)

といった状況であれば、裁判を起こすなどしてある程度の回収を期待できないわけではないですが……。
結局のところ、「はじめから名義など貸さないに越したことは無い」以上の答えは無いでしょう。

CHECK法的拘束力を持たせる契約書(借用書/金銭貸借契約書)の書き方
CHECK名義貸しを依頼されたら/引き受けてしまったらどうすればいい?

★自動車を持ち去られてしまった場合、事故などを起こされるとあなたに賠償義務が向く可能性があります。
これに該当するのなら、出来る限り早く弁護士に相談されることを強くおすすめします。

★状況によっては、名義貸しを行った者に金融機関に対する詐欺罪が適用される可能性があります。

②賃貸契約の名義貸し

「賃貸契約の審査に通らないから、名義を貸してほしい」というのは、先述の金融関連の名義貸しと似通った点が多いです。
というのも、名義を貸した後に家賃を滞納されたり、水漏れ、備品破損などのトラブルを起こされればその請求先は当然あなたに向いてしまうからですね。
また、実際に提起されるかは別として、こちらも不動産会社などに対する詐欺罪が適用される可能性があります。

そもそも「賃貸契約の審査に通らない」という時点で、確実に家賃を支払っていける状況にあるのか疑問が残るところです。
家族間の名義貸しであればその限りではないとしても、第三者へ名義貸しを行うのは絶対にやめましょう。

★相手方の経済状況に問題があるのなら、行政による支援制度を利用できる可能性があります。

CHECK【公的支援の総まとめ】低所得者・高齢者・障害者などに向けたサポート制度
CHECK生活福祉資金貸付制度について
CHECK生活保護の概要とその申請先

★家族間の名義貸しであっても、責任は名義人が負うことになります。

③事業主・会社の代表等としての名義貸し

「何もしなくていいから、新しく作る会社の代表取締役になってほしい」と依頼される例はしばしば聞かれます。

法律で副業の禁止されている公務員等や、特別な資格の要る一部の職業を除き、この場合「名義貸し」自体が直接罪に問われることはほぼありません。
が、問題となるのは「名義を貸した先の会社がトラブルを起こした結果、代表取締役としての責を負わされる」可能性があること。場合によっては多額の損害賠償を、一生かけて支払っていくことにもなりかねません。

その他の「名義貸し」の例に比べると、代表取締役を辞任することで関わり自体は断ちやすいものの……。
複数の人間が関係しやすいことから、泥沼化する可能性も低くありません。この場合には用意できる範囲の会社の資料を持って、弁護士に相談に行くことをおすすめします。

④携帯電話の名義貸し

ローン関連と同じく金融ブラック関連、あるいは犯罪等を目的として、携帯電話の名義貸しを求められることがあります。
前提として、親族(6親等以内の血族および3親等以内の姻族)であれば、名義を貸すこと自体に違法性はありません。逆に言うと、他人に事業者(キャリア)の承諾なく名義を貸すことは明確な不法行為となります。

第七条 契約者は、自己が契約者となっている役務提供契約に係る通話可能端末設備等を他人に譲渡しようとする場合には、親族又は生計を同じくしている者に対し譲渡する場合を除きあらかじめ携帯音声通信事業者の承諾を得なければならない

第二十条 第七条第一項の規定に違反して、業として有償で通話可能端末設備等を譲渡した者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

(「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」より)

刑事罰が加えられるのは「業として有償で通話可能端末設備等を譲渡した者」、つまり商売目的で継続し、名義貸しを行った場合に限られますが……。
これに該当しない場合であっても、名義貸しが発覚すれば「強制解約からの5年間の金融ブラック入り」処分を受ける可能性は十分。
もちろん犯罪への関与が認められた場合には、別の刑事罰に問われるリスクもありますね。

⑤銀行口座等の名義貸し(口座売却)

闇金や、それに近い怪しげな業者の中で口座の名義貸し……というより銀行口座の売買が行われていることがあります。
仮に「口座を作って情報を伝えるだけで〇万円をもらえる」といった勧誘を受けても、これに乗ってはいけません

というのも銀行口座の利用規約にはほぼ確実に、以下のような第三者の利用を禁じる項目が盛り込まれています。

10【譲渡、質入れ等の禁止】
(1)この預金、預金契約上の地位その他この取引にかかるいっさいの権利および通帳については、譲渡、質入れその他第三者の権利の設定、もしくは第三者に利用させることはできません

11【解約等】
(中略)
(2)次の①から④までの一つにでも該当した場合には、当行は預金者に通知することによりこの預金取引を停止し、またはこの預金口座を解約することができるものとします。(中略)
②この預金の預金者が前記10(1)に違反したとき

(三井住友銀行公式HP:普通預金規約より)

以上の規約に反することで銀行への詐欺罪、さらに違法業者を助長させることにより「犯罪による収益の移転防止に関する法律」等が適用されます。
不法行為が知られれば、口座の凍結(預金が引き出せなくなる)に加え、罰金(100万円以下)の発生はほぼ必須。
罰金が発生すれば前科も付き、就業などにも影響するとなれば、とても利益どころの話ではありませんね。

全国銀行協会の情報によると、口座不正利用により何らかの処分を受けた例は1年間で5万件を超えるとのこと(平成28年)。発覚率は決して低くないのでしょう。
そういうわけでこの口座の売却、犯罪うんぬんの前にそもそもリスクとリターンが見合っていません。絶対に手を出さないようにしましょう。

CHECK全国銀行協会公式HP「銀行口座の売買」

★ちなみに、単に家族に使わせるために銀行口座を作った場合でも詐欺罪は適用され得ます。(よほど悪質でない限り、実際に罪に問われることは無いと思われますが……)
基本的に自分の口座は自分で開設、これが難しいのなら代理権を用いて手続きを行ってください。(詳細は各銀行の公式HP等を参照のこと)

⑥各種資格や免許等を用いた名義貸し

分かりやすくタブーであるにもかかわらず、意外と多いのが資格や免許などを用いた名義貸し。
例えば「新しく事業を始める上であなたが持っている資格が必要だから、従業員として名前を貸してほしい」といったものですね。

これを禁じている一例として、ここでは弁護士法を取り上げさせていただきました。

第二十七条  弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない

第七十二条  弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

(弁護士法より)

弁護士法は、弁護士資格のない者への名義貸しを明確に禁止しています。その他の職業についても、似たような規定が設けられていることは多いでしょう。

せっかくの資格や免許を名義貸しに用いると、それが剥奪されるどころか刑事事件沙汰(詐欺罪を含む)となる可能性も十分に考えられます。
取得の努力をふいにしないためにも、資格や免許は自分のために使いましょう。

名義貸しを依頼されたら/引き受けてしまったらどうすればいい?

ここまで解説してきてお分かりの通り、どんなパターンであっても「名義貸し」はデメリットが大きすぎます。言うまでもなく、この件に関する模範解答は「絶対に引き受けるな」に尽きるでしょう。

「お世話になっている人で、どうしても断れない」と言った場合には、状況により

  • 依頼されたローンの審査に通らなかった
  • 勤務先で副業が禁止されている
  • 名義貸しが発覚して、資格を剥奪された人がいると聞いた

……等の嘘をついてでも、関わりを断ちたいところ。

名義貸しを行うと、それだけで多額の支払い義務や、罪に問われる可能性が発生します。
あなたがそんなリスクを引きうける必要は、どこにもありません。軽い嘘をついてでも、何とかしていわれのない責任から逃れてください。

ちなみに、仮に名義貸しを実行してしまった場合、今後取るべき行動はあなたの置かれた状況によって大きく変わってきます。
第三者(金融機関など)を巻き込んでいない状況で、相手方と連絡が取れるのなら、当事者間で解決できる可能性もありますが……。
そう上手くいきそうにない場合には、弁護士をはじめとする専門家への相談をご検討ください。

初回相談であれば無料で受け付けてくれる法律事務所は多いですし、行政の法律相談サービス「法テラス」を使えば相談料自体は無料となります。(依頼費は別途発生/一般の法律事務所に比べると予約~相談まで時間が掛かる点には注意)

★一時的に立て替えを行い、その分を後に請求する権利(求償権)が取り沙汰されることがありますが、民法の上でこれが明らかに認められるのは「連帯債務者」間や「契約者と保証人」間に限られます
単に「あなたが契約し、その恩恵を第三者に無償で貸している」と見なされる状況のとき、求償権を行使できるかは疑問が残ります
結局のところはケースバイケースですので、少しでも泥沼化しそうな気配を感じたら専門家に相談を行うことをおすすめします。

★犯罪組織の関与が明確な場合、身の危険を感じた場合などには警察への相談も視野に入ります。
(逆に言うとそれ以外の場合、警察に出向いても大きな効果は見込めません)

自己名義の携帯電話や通帳を他人に渡してしまったら・・・
すぐに携帯電話会社や銀行に連絡して利用停止や解約の手続きを取ります。

  • 犯罪に利用される可能性もあることから、警察へ申し出ます。ただし、「詐欺と思うので業者を摘発してほしい」と警察に申し出た場合、自分が刑事責任を問われる可能性があります。
  • 法律相談窓口を利用します。「被害者」であるはずの消費者が、法律に抵触し「加害者」として刑事責任を問われる可能性があると思われる場合は、先ずは法律相談窓口へ相談し法的な見解を求めましょう

(北海道消費生活センター公式HP:PDFより)

まとめ

名義貸しには様々なパターンがあるものの、「名義を貸す側のデメリットが大きい」のは共通する。
大きな借金を負わされたり前科が付くことを避けたいのなら、他人への名義貸しは絶対にしてはいけない。
★すでに誰かに名義を貸してしまい、当事者間での解決が難しいのなら、弁護士をはじめとする専門家へ相談に出向くのがベスト

一口に名義貸しと言っても、それを取り巻く環境はケースバイケース。事件が複雑化してしまうと、平和的解決もどんどん難しくなります。
現在「名義貸し」を頼まれている状態であれば、何とかしてこれを断るべきというのは上述の通りですが……。
仮にいざこざに巻き込まれてしまったのなら、できる限り早い段階で専門家の指示を仰ぐことをおすすめします。







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