携帯電話料金を滞納した時の対処方法

携帯電話料金を滞納した時の対処方法

「携帯電話の料金が高くて、支払いも滞納しがち。
ついに契約解除の手紙が届くようになってしまったけれど、支払いの目途も立たないしどうしよう……。」

今や私たちの生活に欠かせないものとなった、携帯電話・スマートフォン。
機械本体が高価な上に、多くの通信が発生するため毎月の支払いは意外と重いものですよね。

ただし、支払いが大変だからと言って滞納を行ってしまうとさらに大きな問題を招きかねません。
支払い金額はどんどん膨らんでいく上、最悪の場合には裁判を起こされて毎月の給与を差し押さえられてしまうこともあります。

今回はそんな携帯電話料金の滞納について、その流れやリスク、「支払えない場合の対処法」に至るまでを詳しくまとめてみました。
読み終えていただければ料金未払いのせいで発生するデメリットを、できる限り抑えることができますよ!

目次

全キャリア共通!携帯料金滞納後のおおまかな流れ

携帯電話の料金滞納後のおおまかな流れは、以下のようになります。
(携帯キャリアへ相談もせず、連絡も無視し続けた場合)

携帯電話料金
滞納後の流れ
  1. 携帯料金の滞納
    延滞利息(延滞料金)の発生
  2. ハガキやメールで支払催促
    (1~2週間後)
  3. 期限までに支払いができなかった場合
    利用停止処分
    (延滞の3~4週間後)
  4. 強制解約予告
    (延滞の2ヶ月後付近)
  5. 強制解約・金融ブラック入り
    (延滞の3ヶ月後付近)
  6. 法律事務所などからの通達
  7. 裁判所からの通達
  8. 裁判
  9. 出廷しなかった場合
    差し押さえ

結論から言うと、踏み倒しても良いことは一つもありません。さらに、支払い義務から逃げ切ることもかなり難しいと言ってよいでしょう。

それでは、各手順について詳しく説明して行きます。

まずは封書やハガキ、メールで「お支払いのお願い」「利用停止予告」が届く

支払い延滞後、1週間~2週間後を目安に封書やハガキ、メールで支払催促が届きます。
(auはメール、ドコモやsoftbankは封書やハガキ)

延滞はできれば、この段階には解消しておきたいもの。その理由を解説します!

①記載してある期限までに支払いを済ませれば、利用停止は免れられる

はじめに届く督促状は、上のようなもの。「お支払いのお願い」とは言うものの、どちらかというと「利用停止(回線停止)予告」に近い性質のものとなっています。

電話などでの事前催促は、基本的にありません。いきなり手紙が届きます。(auであれば事前にメール連絡あり)

この手紙に記載してある支払期日までに請求額を払うことができなければ、携帯電話の利用は差し止められてしまいます。
つまり、通話やwi-fi環境がない状況でのインターネットが不可能になるということですね。

逆に言うと、この支払期限までに入金を済ませられれば大きな問題はありません。
このくらいの延滞であれば、他社に悪い情報が伝わることもないでしょう。

支払いの方法は、「お支払いのお願い」に従ってください。(コンビニ払い、自動引き落とし先口座への入金など)

②延滞を行うほど支払額は増える!利息はカードローンと同じくらい……。

携帯電話料金の支払いが遅れると、延滞利息と呼ばれる罰金を支払わなければなりません。
各社の延滞利息(延滞料・罰金)の発生基準は以下の通り。

延滞利息・遅延損害金利率(3キャリア共通)

通信サービス料金年14.5%
割賦債権
(電話本体の分割払い)
年6.0%

携帯電話料金は「通話料、基本使用料などの通信サービス料金」+「携帯電話本体の分割代金」で計算されます。

支払いを延滞すると、「分割代金」は年6%、「通話サービス料金」は年14.5%の割合で罰金が発生するわけですね。
ちなみに滞納中の分割代金が3,000円だった場合、30日延滞するごとに14円、通話サービス料金が6,000円だった場合、30日延滞するごとに71円の利息が発生します。

といったように、延滞金自体はさほど高いものではありませんが……。
延滞の金額が大きくなるほど、延滞期間が長くなるほど延滞金は膨らんでいきます。
さらに、14.5%という金利は銀行カードローンの平均金利と同じくらい。つまり、借りてもいないお金を借りているのと変わらない利息が発生するわけですね。
そういうわけで、支払いは早く済ませるに越したことはありません。

また、契約先によっては延滞利息が免除されることもあります。

延滞利息・遅延損害金の免除条件

au支払い日の翌日から数えて、10日以内に支払い
softbank支払い日の翌日から数えて、15日以内に支払い
docomoなし

au、softbankであれば、手紙が届いた時点ですぐに支払いを行えば延滞利息が0円になる可能性もあるわけですね。
docomoであっても、この時点で支払いを済ませれば大きな延滞金を請求されることはないでしょう。

③Wi-Fiは利用停止後でも利用できるものの、延滞のデメリットは大きい……。

「支払いのお願い」が届いたにもかかわらず期限内に支払いができなかった場合、当然あなたの携帯電話は利用停止処分を受けます。

この利用停止とはあくまで「通信サービスの停止」というもの。
そのため、キャリアを通さずに接続できる自宅Wi-Fiなどはこれまで通り、問題なく利用することができるのですが……。

「自宅でだけ使えればいいや」という考えで請求を放置していると、必ず後悔することになってしまいます。

契約中のキャリアがソフトバンクであれば、電話とSMSの受信のみが可能です。
(docomo、auは受信も不可)

「利用停止」処分を受けているか調べる方法は?

利用停止処分を受けているか調べるために、最も有効なのが単に「自分に電話を掛ける」という方法。
通常であれば話し中扱いになる、留守電に飛ばされる、といった対処がなされますが……。
あなたの携帯電話が利用停止処分を受けている場合には、「現在、この電話は利用できません」といったアナウンスが流れます。
Wi-Fiしか使わないから利用停止になっているか分からない、という場合にはぜひチェックしてみてくださいね。

支払い延滞から3ヶ月ほどで強制解約&ブラック入りに……。その影響は?

「Wi-Fiさえ使えるなら、別に放置していてもいいかな……。」そんな考えは危険です。
軽い気持ちで支払いを放置していると、取り返しのつかないことにもなりかねません。その理由を解説していきます!

①「契約解除予告」の期限までに支払いを済ませなければ、強制解約へ

携帯電話の利用を停止されても支払いを行わなかった場合、以下のような書類が届きます。

こんな手紙が届くのは、延滞がはじまったおよそ2ヶ月後。これまでに何度も支払い遅れがあった場合には、宣告が早まることもあるようです。

簡単に言うと「この期限までに支払いをしないと、契約を強制解除しますよ」というこの手紙は、言うなれば最後通告となります。

②分割払いの利用中なら「金融ブラック状態」となり、5年間はあらゆる契約が制限されることに……。

もしもあなたが携帯電話本体料金の支払いが終わっていないなら、言い換えるといわゆる「2年契約」中であれば、あなたは実質、すべての金融機関でブラック扱いとなります。

これは、あなたの悪い情報が「CIC」という個人信用情報機関に記録されるため。
個人信用情報機関とは、クレジットカードや各種ローンの支払情報を保存している場所なのですが、ここに実は携帯電話の分割払いも含まれるんですね。

CICに加盟している=CICの情報を閲覧できるのは主にクレジットカード会社や消費者金融(キャッシング会社)ですが……。

CICの情報は銀行にも共有されるため、結局はあらゆる金融機関へ、あなたが「すでに使った携帯電話の料金を支払わなかった人」だと通達されてしまうわけですね。

金融機関の審査において、個人信用情報が見られないことはほぼありません。
つまり、金融ブラック状態となっている間はほとんど何の審査にも通過できないと考えて構わないでしょう。

例えば新しい携帯電話を分割払いで購入したり、クレジットカードを作ったり、ローンを組んで車や住宅を購入したり……。と言ったことがすべて不可能となるわけですね。

この状態は、契約解除から5年間続くことになります。

一部の中小消費者金融であればブラック状態でも借りられますが、利用はおすすめできません。

分割払いが残っているかどうかは、請求書を見ることで確認できます。

③通信料金の未払い情報も、各キャリアで共有されることに

「自分は分割払いが終わっているから、ブラックにならないし大丈夫!」……とは言えません。
たしかに携帯電話本体の支払いが完了しているのなら、「全金融機関でブラック状態」となることこそないものの……。

各キャリアは、独自で提携を結び「不払者情報の交換」を行っています。
つまり、「この人はうちの会社でお金を支払わず、強制解約処分を受けました。」という情報が他の会社にまで伝わってしまうわけですね。
というわけで、「auで強制解約されたけど、すぐにsoftbankで契約しなおす」といったことはできません。
この記録も5年間残るため、強制解約後5年は新しく携帯電話の契約を結ぶのが難しくなるでしょう。

「不払者情報の交換」に参加しているのは、auやsoftbank、docomoといった三大キャリアに加え「ウィルコム」「ウォルト・ディズニー・ジャパン」「ジェイコム」などさまざまとなっています。

他社への未払いを解消した後は、相談次第で他社で契約が結べる……こともあります。
ただし、仮に契約が認められた場合でも携帯電話本体の分割払いは不可能となるでしょう。

強制解約後も連絡を無視し続けると、裁判沙汰になることも

強制解約処分を受けてなお支払いを行わなかった場合、法律事務所などから手紙や電話が来るようにになります。

法律事務所などにもよりますが、基本的にファーストコンタクトは「何か事情があれば分割払いの相談に応じる」といったもの。
怖くても、この時点で連絡を済ませ、分割払いの約束をしてください。

連絡を無視し続けると、「××日までに請求額を支払わなければ、法的手続きもやむを得ない」といった通達が届きます。
この法的手続きとは主に裁判を指しますが、これは脅しでもなんでもなく、本当のことです。

この通達まで無視すると、裁判所から裁判日の記載されたハガキが届きます。

当然、契約を反故にしているのは利用者側ですから出廷しても「何とかして支払え」以外の判決は出ません。
ただしどうしても一括払いができないのなら、分割での支払いが認められます。

この裁判に出廷しなかった場合、おそらくあなたは差し押さえ処分を受けることになるでしょう。

車などの価値ある財産があるのならそれらが、価値ある財産がないのなら毎月の手取りの4分の1が毎月回収されることになります。(手取り33万円以下の場合。ちなみに当然勤め先にはバレます)

というわけで、携帯電話料金の支払いを踏み倒すことは非常に困難です。

携帯電話料金を支払えなくなった場合、取るべき方法

何らかの事情があり、どうしても料金が支払えない……。
そんな場合であってもきちんと誠実に対応すれば、差し押さえの憂き目にあうことはありません。

①支払いの目途が立っているのなら、できるだけ早い段階で相談を!

とにかく必要なのは、相談すること。
基本的には利用先の携帯キャリア(auやsoftbankなど)、法律事務所から連絡が来た後には法律事務所がその相手となります。

相手も鬼ではありませんし、そもそも本当に支払い能力がないのなら催促を行っても意味がありません。
「月○万円までなら支払えますので、お願いします」という形で、まずは誠意をもってお願いしてみましょう。

事情に関わらず、あくまでも「契約を破っている側」であることを念頭に置いた上で交渉を行いましょう。

②強制解約前なら「一度解約し、今までの請求を支払う」方法を選ぼう

強制解約処分を受ける前であれば、とにかく一度契約を解除し、これ以上基本料金などが増えるのを防ぐ必要があります。

実際に携帯代を滞納した経験がある男女100人に、滞納した携帯会社を現在も利用しているかアンケートを行ったところ、何らかの理由で利用できていない人の割合が約4割という結果になりました。

滞納した携帯会社を現在も利用していますか?

参照:携帯代を滞納した経験がある人への簡単なアンケート

利用停止処分中であっても、解約は可能です。

近くのキャリアショップへ行き、「こんな事情で現在支払いが困難だから、一度解約して残金を支払う」という約束を結びましょう。この手続きは、早ければ早いほど有効です。

この約束を破ると、結局は法律事務所へ回収が任されることになります。

上記の行動を起こすのが遅くなれば、その携帯会社が2度と利用できなくなる可能性もありますよ。

携帯電話の滞納と契約に関する、よくある質問と回答

最後に、携帯電話の滞納に関するよくある質問にお答えしていきます!

①滞納を行うことで、家族に迷惑が掛かることはありますか?

契約の名義・支払元によります。
あなたが完全に独立しており、あなた名義で契約・支払いを行っているのなら、家族に問題が及ぶとも思えませんが……。

「父親に支払いを任せている」「夫名義の携帯電話である」といった状態であれば、家族が金融ブラック状態に陥ったり、訴えられる可能性すらあります。

大変なことになる前に、現状を伝えてください。

②彼氏の携帯の利用停止予告が届いたのですが、私が支払わないといけないんですか?

支払い義務があるのは名義人です。「利用者」と「名義人」は異なります。

あなたの名前に請求が来ているのなら、支払い義務はあなたにあります。

残念ながら、その契約の仕方自体が間違いだったとしか言えません。できるだけ早い段階で支払い、名義を変更する他ないでしょう。

③3ヶ月未満の延滞であれば、信用情報に影響はありませんか?

電話本体の分割が残っているのなら、1ヶ月程度の延滞から「CIC」に記録されます。
「ブラック」というほど強いものではありませんが、この1ヶ月程度の「未払い」情報が残っていると、やはりさまざまな金融機関の審査は不利になります。

ちなみに、1ヶ月刻みの記録は2年間残ります。

分割払いが残っていないのなら、強制解約処分を受けるまでは他社に悪い情報が伝わることはありません。

④ブラック登録されてしまった場合、どうにかして新しく契約を結ぶ方法はありませんか?

「携帯電話の一括払いを提案しても、利用できなかった」「そもそも経済的に、一括払いは不可能」といった場合の対策には、以下のようなものが挙げられます。

  • レンタル携帯電話を利用する
  • クレジットカードやデビットカードを使い、格安SIMを利用する(ただし金融ブラック時NG)
  • 親などの名義で契約してもらう

金融ブラックとは、携帯電話の本体料金を分割中に強制解約処分を受けた場合のことを指します。
本体料金を支払った後の強制解約であれば「楽天モバイル」などの格安SIMを利用できることもあるようですが……。

そうでなければ、ブラック中は新しく自分の携帯電話を持つことは難しいでしょう。

また、レンタル携帯電話は審査不要・ブラックOKですが、毎日使い続けるとなるとかなり高額な料金が発生します。

⑤端末代だけを支払う方法はありますか?

残額を一括で支払う形であれば可能です。
ただし、基本的には「翌月の請求に端末残額を上乗せ」という形になるため、「携帯料金が支払えない」というお悩みをお持ちの場合には非現実的なものとなるでしょう。

希望する場合には、各キャリアに電話で相談をしてみましょう。auであれば、インターネットからの手続きも可能なようです。

⑥クレジットカードやカードローンで支払いを乗り切る方法は悪手ですか?

10万円以下の滞納で法律事務所の取り立てが厳しい、支払えないような分割払いしか認めてもらえない……。
そんな場合には「楽天銀行」など、月々の返済額が少ない(2,000円~)カードローンを選択するのもアリ……と言いたいのですが……。

この方法が有効なのは、「本体料金の支払いが完了した上で、強制解約処分を受けた」場合のみ。

本体料金を支払い中に強制解約された場合には全金融機関共通の金融ブラック状態となるため、ほとんどのカードローンも利用できません。

中小金融機関、いわゆる「街金」であれば借りられる可能性もありますが……。
延滞を借金で解決することができるか、というとリスクが高くおすすめはできません。

⑦死亡した家族の携帯電話の支払い請求が来ました。家族が支払う義務はありますか?

解約する場合であっても、当日に発生した料金は支払う必要があります。
この支払い義務は、相続者に引き継がれます。

すべての財産の相続を放棄する場合、支払い義務はありません。

まとめ

ポイント
  • 携帯料金の踏み倒しは困難。支払額はどんどん膨らむ上、最終的には裁判沙汰にもなりかねないためできるだけ早い段階で支払いを!
  • どうしても支払いができないのなら、キャリアや法律事務所に分割払いや解約の相談をしよう!無視こそが最大の悪手
  • 携帯電話の本体料金が残っている場合、強制解約とともに5年間の金融ブラック状態へ入ることに……。
  • 本体の支払いが完了していても、不払情報はその他の携帯キャリアに共有される。ただし不払いさえ解消できれば、新しく携帯電話の契約が結べるないわけではない

軽い気持ちで滞納すると、5年の間はあらゆる契約が制限される上、結局お金も支払わされることになります。
とにかく滞納には何のメリットもありません。何らかの事情があり支払いが困難になったら、できるだけ早い段階でキャリアなどに相談を行ってください。

目次