【法律から読む】配偶者の借金が発覚した場合の返済義務・依存からの脱出方法

【法律から読む】配偶者の借金が発覚した場合の返済義務・依存からの脱出方法
「不審な預金の引き出しがあったから問い詰めてみると、配偶者に大きな借金が発覚。
子供も小さいから離婚も難しいし、どうしよう……。」

実は誰の同意もなく、簡単に利用できてしまうローンは少なくありません
このためにようやく借金が発覚した頃には、到底支払えない金額にまで借り入れが膨らんでいることも……。

今回は配偶者に借金が見つかったときにすべきこと返済義務の行方借金依存から抜け出すための制度などを詳しくまとめてみました。
読み終えていただければ、夫婦がこれから取るべき行動が分かりますよ。

既婚者の借金、返済義務はどこにある?

既婚者の借金、返済義務はどこにある?

まずは既婚者に借金がある場合の返済義務の行方について解説していきます。

①原則、返済義務を持つのは「契約者」だけ

基本的に既婚者がローンを組んだ場合、その配偶者に返済義務はありません

ローンは共有財産ではなく、個人の(負の)財産として見なされます。
夫、あるいは妻がどれだけ借金を組んでいようと、原則配偶者がその返済を手伝う義務もありません。

ただし、例外となる場合も存在します。

②ただし(連帯)保証人となっていた場合は話が別

原則あなたは、配偶者の借金の金額に関わらず返済義務を負う必要はありません。

ただし、あなたがローンの保証人、あるいは連帯保証人となっていた場合は話が別
保証人とは「契約者(ここでは配偶者)は借りたお金を返せる人だと証明しますよ。もしそうでなければ、私が契約者の返済責任を果たします」というポジションですから、この場合はあなたにも配偶者の借金を支払う義務が生じます。

とは言え、保証人・連帯保証人となるためにはあなたも契約に参加しなければなりません。
「知らないうちに組める借金」(カードローンなど)は保証人なしで組めるため、あなたが(連帯)保証人となっていることはないでしょう。

保証人が必要なローンは、基本的に一部の自動車ローンなど「使い道の限られた、一部の大きなローン」となります。

★保証人と連帯保証人の違いやその義務については「借金の保証人について」のページをご覧ください。

<勝手に保証人にされていたらどうなる?>

仮に印鑑を持ち出す、署名を偽装するなどして勝手に(連帯)保証人に設定されていた場合にはどうすれば良いのでしょうか?
基本的には、まず金融機関へその旨を伝え、それでも認められないと言うのなら弁護士などへの相談が必要になります。(法テラスの無料相談サービスを利用すると良いでしょう)
というのも、偽造された書類とそうでない書類は金融機関側から見て判断ができないからですね。

★勝手に保証人にされた場合、あなたが一円でも配偶者の借金を支払ってしまうと、保証人としての立場を認めることになります
特に離婚を考えている場合、絶対に肩代わりはしないでください。

★保証人にされているかどうかは、個人信用情報の開示などから判断することができます。
3つの個人信用情報機関すべてへあなたの名義で開示請求を行い、保証人としての情報が記載されていないかチェックしてみると良いでしょう。

③「日常家事」のための借入ならば、夫婦どちらにも返済義務がある

さらに、配偶者が返済義務を負う例として「日常家事債務」と呼ばれるものが存在します。
民法による記述を見てみましょう。

夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

(民法第761条より)

法律行為とは単に「契約」を指すものを見て良いでしょう。とくに借金に限定されるものではなく、公共料金などの契約もこれに含まれます。
この場合、日常の家事とは「家庭を営むために必要なもの」を指します。例えば食費や家賃などですね。 配偶者が生活を成り立たせるため、やむを得ず生活費を借り入れたとする場合、あなたにも返済義務が生じます

ただし生活費を借り入れなければならないほど困窮しているのなら、返済能力が十分だとも言えないはず。
この場合、借金を返済していくと言うよりは自己破産(借金の帳消し)からの行政サポート(生活保護など)を検討した方が良いことが多そうです。

★「日常の家事」の範囲は非常にあいまいなものとなります。
財産分与の際、トラブルになることも多く専門家の力を借りることも求められるでしょう。

<配偶者の借金のせいで、私の信用情報にキズが付くことはある?>

「ブラックになると、クレジットカードが作れない」といった噂は聞いたことがあるかと思います。
ブラックとは信用情報、つまりあなたのクレジットカードやローンの利用履歴に重大な問題が残っている状態のことを言います。この場合、少なくとも5年間はクレジットカードはもちろん、携帯電話本体代の分割などを含むあらゆる「分割払い」や「ローン」に関する契約を結ぶことができません。

もしもあなたの配偶者に借金が見つかった場合……。
それが仮に支払えなくなったとしても、あなたが(連帯)保証人になっていない限り、あなた自身の信用情報がキズつくことはありません

ただし、あなたの名義で配偶者の名前を添えてクレジットカードや各種ローンに申し込んだことがある場合(専業主婦やそれに近い主婦の方が行う契約で多々起こり得ます)、信用情報に「配偶者情報」が残ります
あなた自身が十分な収入を得ているのなら契約に問題ないこともありますが……。
そうでなければ結果、あなた自身の審査も不利になることが考えられます。

新生銀行の規約より
▲新生銀行の規約より。家族の属性情報を取得・利用することがあると明記されています。

このあたりは各金融機関の審査方法などにもよるため、一概に「ローンを組める」「組めない」と言い切ることができません。
とは言え、一般の状態に比べると審査に落ちやすくなることは確かでしょう。

CHECK個人信用情報の開示について

配偶者の借金がいくらあるかわからない……。そんなときにはどうすればいい?

配偶者の借金がいくらあるかわからない……。そんなときにはどうすればいい?

「配偶者自身が借金の総額や借入先を把握していない」「他にも借金を隠している気がする」
そんな場合には、個人信用情報機関への開示請求が最も有効です。

個人信用情報機関とは、クレジットカードや各種ローンの利用履歴をすべて保存している場所。
「JICC」「CIC」「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」の3種類がありますが、この場合であればすべての機関へ開示請求を行うのがベストでしょう。

すべての合法ローンを取り扱う会社は、個人信用情報機関への加盟が義務付けられています
合法の金融機関から借りている範囲であれば、開示請求を行うことですべての借入先・借入額が確認できます。借金の現状を把握するため、これ以上に確実な方法はないでしょう。

詳しい開示の方法や開示書の見方については「信用情報の開示について」のページをご覧ください。

一機関の情報を開示するごとに1,000円ほどの手数料が掛かります。(窓口への来訪が可能なら500円:JICC、CICのみ)

★違法業者(闇金)や親族、友人など金融機関外からの借金を確認することはできません。

配偶者が勝手に個人信用情報を開示することはできません。契約者死亡などの理由がない限り、契約者本人が開示請求を行う必要があります。

配偶者を借金依存から脱出させるために考えられる方法

配偶者を借金依存から脱出させるために考えられる方法

浪費癖やギャンブル依存は、よく病気と形容されますが……。
このために生活に支障をきたしているのならば、それも間違いではないでしょう。
配偶者に借金依存のきらいがあった場合、あなたが取るべき方法とは何なのでしょうか?

①まずは貸金業協会の「貸付自粛制度」を活用しよう

貸金業協会、という名前の通りお金の貸し借りを取り仕切る組織が存在します。
こちらは先述の個人信用情報機関と密接な関わりを持っており、この機関に「貸付自粛」の申請を行うことであらゆる金融機関からの貸付をストップしてもらうことが可能です。
これを「貸付自粛制度」と言います。

この制度の特徴は、個人信用情報機関への開示請求などと異なり家族が契約者の同意を得ず、貸付自粛を要請できること。
要請が通れば、5年間はあらゆる合法の金融機関からローンを組むことが不可能となります。

貸付自粛制度は、貸金業協会窓口への来訪や郵送で申請することができます。
配偶者の借金依存をやめさせたい、という場合にはこちらの制度が最も有効でしょう。

CHECK貸金業協会公式HP「貸付自粛制度の手続き方法」

★細かい仕組みを言うと、この制度を使うと「JICCとCICに貸付自粛」情報が飛びます。
すべての金融機関、あるいは銀行などについた保証会社(審査を行う会社)はJICCまたはCICのに加盟しているため、新しくローンを組むことは不可能となります。

★違法業者(闇金)や業者以外からの借入は止めることができません。

②専門のクリニックやカウンセリングの利用も有効

最近は「ギャンブル依存」「買い物依存」など、さまざまな依存症への専門外来も増えてきました。
多くの病院(メンタルクリニック、精神科、心療内科など)、公共施設で相談窓口は開かれていますので、専門家の力を借りてみるのも良いでしょう。

ただし、言うまでもなく本人に状況改善の意思がなければ利用することはできません。
残念ながら、依存症はまっとうな方法で、本人の意思なく改善することは不可能です。

とても支払えないような借金が見つかったときには

とても支払えないような借金が見つかったときには

消費者金融(キャッシング専門の会社)からの借入は、「年収の3分の1まで」と法律で制限されています。(貸金業法:総量規制)
ただし、銀行などその他の金融機関を利用していた場合には年収の半分以上のお金を借りることも不可能ではありません

仮に到底支払えないような借金が見つかった場合には、債務整理に踏み切るのも一つの手でしょう。
債務整理とは、借金を軽減させるための合法手段。
有名なのは「自己破産」ですが、これより程度の軽い手段も3つ存在します。

★4つの債務整理の概要

任意整理
  • 今後利息が発生しない(今ある借金を返済すればOK)
  • 現在の借金は減らない
  • 裁判所を通さないため、比較的手続きをしやすい(専門家への依頼はほぼ必須)
  • 「今はまだ支払い不能には陥っていないが、このままだと息詰まる」という状況で利用されることが多い
特定調停
  • 専門家の力を借りず、裁判所を通して行う任意整理のこと
  • 費用は減るが、労力と知識が必要になる
個人再生
  • 借入額に応じ、借金を大幅に減額することができる
  • 官報に情報が載る
自己破産
  • 借金がゼロになる
  • 住宅や貯金など、ある程度の価値のあるものはすべて手放さなければならない
  • 官報に情報が載る

専門家と相談し、借金の程度と返済能力に合わせて家庭に合った手段を選択するのが一般的です。
「現時点で支払いができない」という状況であれば、個人再生または自己破産が有力候補となるでしょう。
一方、「現在は何とかなっているが、このままだと支払えなくなりそう」という状況であれば任意整理を選択するのがおすすめです。

詳しくは「債務整理について」のページをご覧ください。

CHECK街角法律相談所について

債務整理を行った場合、手段に関わらず最低5年のブラック入りは確定となります。
ただし借金依存の気配があるのなら、むしろ都合が良いことも多いでしょう。

配偶者の借金に関するよくある質問と回答

配偶者の借金に関するよくある質問と回答

最後に、配偶者の借金についてよくある質問をまとめてみました。

①夫のローン契約を、妻が解約することはできますか?

残念ながら、配偶者を含む第三者が解約を行うことはできません。(契約者が死亡した場合などを除く)
まっとうな方法で解約を行うとすれば、契約者本人による解約手続きが必須となります。

支払いを滞納することで金融機関側からの契約を打ち切り(強制解約)を待つ、という方法もないわけではありませんが、遅延損害金が発生するためおすすめはできません。

②離婚後、配偶者の借金はどうなりますか?

あなたが保証人となっていないのなら、請け負う必要はありません。
ただし、最初の項目で述べた通り「日常家事のため、必要な借金である」と認められた場合はその例外となります。

③専業主婦の妻の借金が発覚した場合、返済義務はどうなりますか?

夫が保証人となっていないのなら、専業主婦の借入とは言えども夫に返済義務はありません。離婚したとしても、妻が一人で返済責任を負うことになります。

④借金のある配偶者が死亡した場合、返済義務はどうなりますか?

財産を相続した場合、借金の返済義務も一緒に負の財産として相続されます
相続を放棄した場合、返済義務は消滅します。(損害は金融機関、あるいは保証会社が被ります。)

⑤夫婦の片方がブラック状態の場合、もう一方が金融機関と契約を結ぶことはできますか?

一応、可能ではあるのですが……。

上の項目でも紹介した通り、さまざまな金融商品の規約には「家族の信用情報を取得・利用することがある」と明記されています。

三井住友VISAカードの規約より
▲三井住友VISAカードの規約より。

本人に十分な収入がある場合はその限りではないものの……。
やはり家族に金融ブラック状態の人がいると、そうでない場合に比べ審査通過は不利になりやすいでしょう。

まとめ

まとめ

★あなたが(連帯)保証人になっていないのなら、配偶者の収入に関わらずあなたに返済義務はない。ただし、「日常の家事」に必要だと認められた場合や配偶者が死亡し、財産を引き継いだ場合はその例外
★借金の全貌を把握するためには、3つの個人信用情報機関すべてへ開示請求を行うのがベスト。
ただし正規業者以外から借りたお金は閲覧できないので注意
★借金から抜け出させるためには「貸付自粛制度」を活用しよう。本人の同意がなくても新規貸付をストップさせられる

夫婦間に借金問題が発生した場合……。
まずは個人信用情報を開示し借金の全貌を把握。
その後は債務整理やカウンセリングを活用するなどして生活を立て直していくのが、地道ではありますが確実な方法となるでしょう。




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