【公的支援の総まとめ】低所得者・高齢者・障害者などに向けたサポート制度

【公的支援の総まとめ】低所得者・高齢者・障害者などに向けたサポート制度

「収入はとても安定しているとは言えないし、生活が厳しい。
でも、まったく仕事ができないわけじゃないから生活保護も難しそう……。」

そんな場合は、主に厚生労働省が取り扱うさまざまな公的支援制度を利用しましょう。
例えば東京都の「自立支援センター」を活用する場合、資格を取得したりビジネスマナーを学びながら収入を得ることが可能です。

今回は収入が少なく(あるいは医療費などの出費が多く)生活に不安のあるあなたのために、主な公的支援制度をまとめました。
読み終えていただければ、きっとあなたに合ったサポートを受けられますよ!

★この記事は住民税非課税、あるいはそれに近い状況の世帯を対象としています。
高額医療費制度など、加入している保険による支援制度については各公式HPなどをご覧ください。

新型コロナウイルスによる損失について

新型コロナウイルスのために生活が立ち行かない状況であるのなら、こちらの助成制度への申し込みをご検討ください。

CHECK新型コロナウィルスを原因とした生活苦に対する助成制度



主な公的支援一覧:あなたが利用できる制度を探そう!

まずは、主な公的支援の中からあなたが利用できそうなものを探してみましょう。

★主な公的支援制度一覧

申し込み先 概要
無料低額診療事業 対応している病院 低所得者などへ向け、無料あるいは低額で診察を可能とする制度
住宅確保給付金 福祉事務所
その他市区町村の定める窓口
働きたい意欲のある離職者のために、家賃を支給する制度
(生活)自立支援センター 福祉相談支援センター
その他市区町村の定める窓口
生活に関する相談、住み込みでの支援など
※支援の内容・充実度は自治体によって大きく異なる
生活福祉資金貸付制度
寡婦福祉資金貸付制度
社会福祉協議会 低所得者に一時金を「貸す」制度
児童扶養手当
他、単身家庭に向けた支援
市区町村窓口 母子家庭・父子家庭に向けた生活支援
生活保護 福祉事務所 最低限度の生活を営むためのお金を給付

★失業時の手当や支援については「雇用保険・失業手当について」のページをご覧ください。
★その他、地方自治体が独自の制度を設けていることもあります。

掲載しているのは、主に地方自治体が実施している福祉事業。
生活困窮者への支援と言うとまっさきに生活保護がイメージされることが多いですが、生活保護未満のサポート制度も複数存在します。

それでは、それぞれの制度について紹介していきます!

★加入している保険による支援制度(高額医療費制度など)については各公式HPなどをご覧ください。

CHECK家族が亡くなったときに支給されるお金について

【無料低額診療事業】で通院費を無料にできるかも

何らかの事情で病院に通わなくてはならない、でもそうすると生活費が足りない……。
そんな世帯を対象に、都道府県などと提携した一部の病院は「無料低額診療事業」を実施しています。

こちらは名前の通り、あなたの状況に合わせて「無料」もしくは「低額」で診察を受けられる制度。
さらに病院関係には珍しく保険の上で成り立つ制度ではないため、保険証を持っていなくても利用可能です。

ただしこの制度を利用したい場合には、この制度を取り入れている病院で治療を受ける必要があります。
まずはあなたのおうちや職場の近くに該当する病院があるか、調べてみると良いでしょう。
管轄は各都道府県や市区町村となるため、「(自治体名) 無料低額診療事業」で検索を掛けるのが最も早いです。ここでは主要都道府県のみ掲載しておきますね。

CHECK東京都福祉保険局公式HP「無料低額診療事業・無料低額介護老人保健施設利用事業」
CHECK大阪府公式HP「無料低額診療事業」
CHECKあいち健康プラザ参考資料(PDF)
CHECK福岡市公式HP「無料低額診療事業とは」
※福岡県他市については各自治体HPをご覧下さい。

この制度を利用したい場合、福祉事務所などへ申請を行う方法もあるようですが、直接病院に出向いて窓口で相談を行うのが最も手軽かつ確実でしょう。

無料低額診療事業を実施している病院には、医療ソーシャルワーカー(相談員)の設置が義務付けられています。そのため気兼ねなく申し出や相談が可能です。
制度を受けるために審査はあるものの、必要な診療かつ支払いが難しいと判断された場合には問題なく診察費の減額・または免除を認めてもらうことができますよ。
埼玉共同病院HPより

埼玉共同病院HPより

ちなみにこの制度を利用する場合、本当に生活に困窮しているか確かめるために収入を証明する書類などの提出を求められることが多いです。
このあたりの提出基準は病院によって異なるため、ソーシャルワーカーさんの在勤時間と併せて病院に直接問い合わせてみると良いでしょう。

★医療費が無料となる、生活保護の審査を受けている間にも利用可能です。

★無料・低額となる基準は病院によって異なります。

★この制度を利用できるのは保険適用の治療のみとなります。また、薬品代や移動費は対象外となります。
医療費を全額カットしたとしても生活が厳しい場合には、生活保護を検討する必要がありそうです。

【住宅確保給付金】は離職中&住むところがない(またはなくなりそう)ときに利用可

「住宅確保給付金」とは、名前の通り住居を得るための給付金です。

区では、現在住宅を喪失している、または喪失するおそれのある賃貸住宅に住んでいる離職中の方が、常用就職を目指して求職活動なさる場合に一定期間、家賃相当額を支給します。

東京都足立区公式HPより)

取扱いは各市区町村ですが、利用条件や給付額は全国共通となっているようですね。

★住宅確保給付金の利用条件

支給申請時に以下の要件全てに該当する方が対象となります。

  1. 1. 65歳未満で2年以内に離職したこと

  2. 2. 離職前に、自らの労働により賃金を得て、主として世帯の生計を維持していたこと

  (離職時は世帯主ではなかった方で、離婚等により申請時に主たる生計維持者となっている方も対象となります)

  1. 3. 就労能力及び常用就職の意欲があり、公共職業安定所へ求職申し込みを行うこと又は現に行っていること

  2. 4. 離職により住宅を喪失していること又は喪失するおそれのあること

  3. 5. 申請者及び申請者と同一世帯の方の収入の合計額が、基準額に家賃額(住宅扶助基準額が上限)を合算した額以下であること

  4. 6. 申請者及び申請者と同一の世帯の者の預貯金(現金を含む。)の合計が、次の金額以下であること

   単身世帯:50.4万円 2人世帯:78万円 3人以上世帯:100万円

  1. 7. 申請者及び申請者と同一の世帯の者が職業訓練受講給付金を受けていないこと

  2. 8. 申請者及び申請者と同一の世帯の者が暴力団員でないこと

神奈川県秦野市公式HPより)

★住宅確保給付金における「基準額」

基準額(月額) 上限貯金額
一人世帯 84,000円 504,000円
二人世帯 130,000円 780,000円
三人世帯 172,000円 1,000,000円
四人世帯 214,000円 1,000,000円
五人世帯 255,000円 1,000,000円
※6人世帯以上は要問合せ

住宅確保給付金を利用するためには、「現在の収入≦基準額+家賃額」でなくてはなりません。
また、給付される金額は「基準額」が上限となります。

そのため家賃額としては十分すぎる金額を受け取ることができますが、利用条件は厳しめ
「社宅に住んでいたのに会社都合で解雇され、住む場所がない」「ひどいブラック企業から脱出したいが、会社の寮に入っているので住む場所がなくなりそう」といった方が主な対象でしょうか。

とは言え求職者にとって心強い制度であることに変わりはありませんので、利用条件を満たしているのならぜひ活用してみてください。

申し込み先は「福祉保健センター」「社会福祉協議会」など市区町村によって異なります。
「(市区町村名) 住宅確保給付金」で検索してみるのが最も確実でしょう。

★その他、就業に関する支援については「雇用保険について」のページも参考にしてみてください。

【自立支援センター】は住み込みで就職支援を受けられ、お金を貯められることも

各市区町村や都道府県に設置してある「(生活)自立支援センター」
基本的には専門の相談員にお金や生活について、さまざまなアドバイスを受けられる場所として機能しています。

福岡市生活自立支援センター公式HPより:こんな悩みをお持ちの方に

福岡市生活自立支援センター公式HPより

こちらの画像のように、お金に関するさまざまな不安を一人で解決が出来ない場合には、ぜひ相談窓口を使ってみてください。
あなたに合った自立支援制度があれば、その利用方法や注意点を詳しく教えてもらえることでしょう。

これだけであれば、「公的支援」とまでは言い難いこの制度ではありますが……。

東京都・大阪府・愛知県といった自治体は他と違い「寮」タイプの自立支援を実施中。
この寮では衣食住を提供されながら収入を得ることができるため、生活を立て直すためには絶好の機会となることでしょう。
もしもあなたが都市部にお住まいの失業者、あるいはホームレスやその予備軍である場合には、これ以上ない公的支援ですね。

とは言え当然人気は高く、入所するためには倍率の高い抽選に通過しなければならないことも多い模様。
寮に空きがなかった場合であっても「一時保護所」で生活することは可能なようですが、こちらも空いていなかった場合には野宿を強いられた例もあるそうです……。

自立支援センターの利用を申し込みたい場合には、各都道府県が設置する「社会福祉事務所」へ相談を行いましょう。

CHECK東京都社会福祉協議会公式HP「交通マップ」
CHECK大阪府社会福祉協議会公式HP「アクセス」
CHECK愛知県社会福祉協議会公式HP「アクセス」

ちなみに「自立支援」の名前の通り、入寮中はハローワークなどでの求職活動と自立の意欲が必須となります。
意欲がないと見なされた場合や交通費の着服などの不正行為が見つかった場合は強制退去となるようですね。
一方で上手く、誠実に利用すればある程度お金を貯めた状態で社会復帰が可能です。

一時的にお金を借りたいなら【生活福祉資金貸付制度】【寡婦福祉資金貸付制度】

もしもあなたが冠婚葬祭、教育費など一時的なお金を必要としているのなら、「生活福祉資金貸付制度」を検討してみるのも良いでしょう。
(母子家庭、父子家庭の場合には「寡婦福祉資金貸付制度」が適用)

こちらは「貸付」の名前の通り、他の給付金とは違い返済義務のある制度。そのため、利用できるのは「生活に困窮していながら、最低限の返済能力はある世帯」に限定されます。

とは言え使い道ごとに返済の猶予期間(返済しなくて良い期間)が設けられていますので、「今はお金がないけれど、再就職したら返済できる」「専門学校を卒業したら返済できる」といった場合にはとても心強い制度となってくれることでしょう。

あなたが連帯保証人を用意できる場合、もしくは教育資金を借りる場合に金利は発生しません
また、保証人を用意できなくても金利は1.5%と非常に低いものとなっています。

制度について詳しくは「生活福祉資金貸付制度について」のページをご覧ください。

★融資までには原則1ヶ月前後の時間がかかりますが、「緊急小口融資」を希望する場合には1週間程度で借り入れが可能です。(即日融資は不可能です。)

★「貸付」制度ではあるものの、民間のキャッシングを利用できない状況(ブラック状態)でも利用可能です。
(実際に、債務整理費用として利用できるとの文面があります。)

母子家庭(父子家庭)や障碍者、高齢者を対象とした基本の福祉制度

ここからは一般的に十分な収入を得ることが難しい、母子家庭や障碍者、高齢者を対象とした公的支援を簡単に紹介していきます。

★主な公的支援とその概要(東京都東大和市の場合)

主な対象世帯※ 給付金額 概要・その他
児童扶養手当 母子家庭
父子家庭
18歳以下の児童数による
(児童一人の場合、最高で月42,290円)
単身家庭における子供の生活の安定を支援
児童育成手当
(育成手当)
児童一人につき
13,500円
父または母が重度の障害を有する場合にも適用
ひとり親家庭等医療費助成制度 場合による 医療費の自己負担額が原則1割になる
自立支援教育訓練給付金 受講料の6割
(1.2万円~20万円)
単身家庭の母などが就職できるよう、教育訓練口座の授業料を助成
寡婦福祉資金貸付制度 借り入れ目的による 低金利、あるいは無金利で必要額を貸付
高等職業訓練促進給付金 母子家庭、父子家庭のうち
養成機関に1年以上在籍している親
月70,500円
(住民税非課税の場合10万円)
子供がおり定職に就けない親が、看護師、美容師、歯科衛生士などの資格を取得するための援助
児童育成手当
(障害手当)
障害のある20歳未満の児童を養育している家庭 月15,500円 障害のある児童を養育する家庭への支援
心身障害者医療費助成制度 身体障害者手帳2級以上(内部障害は3級から)、愛の手帳2度以上を交付された方 場合による 医療費の自己負担額が原則1割になる
自立支援医療 障害者手帳所持者 場合による 医療費の自己負担額が原則1割になる
他要相談
家族介護慰労金 要介護4・5認定の方を自宅で介護し、1年間介護サービスを受けていない介護者 10万円 介護者が同居または隣接して在住していることが条件
生活福祉金貸付制度 低所得家庭
障害者家庭
高齢者のいる家庭
借り入れ目的による 低金利、あるいは無金利で必要額を貸付
※収入制限など、その他の条件も設けられているため必ず自治体の情報をご確認ください。

ここに掲載した以外にも自治体独自の制度を設けていることは多いです。
各市区町村に相談窓口が設けられていますので、「こういうときにどうしたらいいか分からない」「どの制度を使えばいいか分からない」という場合にはぜひ活用してみてください。

★保険制度のもと行われるサービスについては、加入している保険種別ごとの公式HPをご覧下さい。
(国民健康保険の場合は各市区町村、社会保険の場合は全国健康保険協会

どうしようもない状況なら、やはり生活保護の検討を

「公的制度を使ったとしても、働くことができない」「どうやっても生活を立て直せる気がしない……。」
そんなときには、やはり生活保護を検討することとなるでしょう。

生活保護とは、日本国民全員に「健康で文化的な、最低限度の生活」を保証するための制度。
母子家庭や高齢者家庭、その他傷病者といった、満足に勤労することが難しい世帯へ返済義務のない生活費を給付しています。生活保護が適用されれば、医療費や自己破産のための弁護士費用も完全免除となりますね。

「生活保護を受給したい」あるいは「生活保護を使う必要があるか知りたい」という場合には、お近くの「福祉事務所」へ相談に出向く必要があります。
仮に生活保護を受けられない状況であってもあなたが今後取るべき行動についてアドバイスを受けられるため、「今何をすればいいか分からない」という場合にも相談に行ってみると良いでしょう。

CHECK厚生労働省公式HP「福祉事務所一覧」

★十分な貯金や不動産などの資産を持ちながら、生活保護を受給することはできません。(生活に必要と認められた場合を除く)

まとめ

★低所得層に向けて一部の病院が実施している「無料低額診療」を使えば、生活保護を受給しなくても必要な医療費を大きく抑えられる
★就業の意欲があるのなら、さまざまなサポートを受けられる。特に都市部にお住まいなら自立支援センターの利用は有効
★単親家庭や高齢者、障害者に対するサポートはどの自治体も積極的に行っているため、まずは公式ページをチェックしてみよう

公的支援の内容は自治体によっても差が大きいため、概要だけを簡単に説明しましたが……。
結局のところ、税金を利用する以上「手軽な申し込み・契約」ができない制度を利用する上で、どうやっても役所の人やケースワーカーさんなどとの対話は必須となります。

そのため、「公的支援を受けたい」という場合はもちろん、単に「お金がなくて将来が不安」「計画的な支払いがどうやってもできない」という場合にも、自立支援センターや福祉事務所の相談窓口を積極的に利用することをおすすめします。

CHECK雇用保険と就業意欲のある方へのサポート制度について
CHECK生活福祉資金貸付制度について