生活保護を受けるための3つの条件とは?実際の受給額と申し込みの流れ

生活保護を受けるための3つの条件とは?実際の受給額と申し込みの流れ

日本国民に保障された、「健康で文化的な最低限度の生活」を営むためのセーフティーネットが「生活保護」です。

けがや病気、介護、育児などを理由に十分な収入を得られない方は、この制度への申し込みを検討できます。

今回は生活保護を受けるために必要な条件や、実際に保護を受けるまでの流れをまとめました。

目次

生活保護を受けるための3つの条件

まずは生活保護へ申し込むための条件について解説します。

①世帯収入が一定の基準を下回っていること

生活保護へ申し込めるのは、世帯収入が一定の基準を下回っている方です。

「一定」の基準はお住まいの地域や家族構成によって異なります。

例えば20歳~40歳の一人暮らしの方であれば、月収が「130,010円」以下であれば生活保護を受けられる可能性があります

②資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮していること

生活保護の対象となるのは、「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮している」方です。

そのため一定以上の貯金や自動車、生命保険などの財産は、原則として手放す必要があります。

財産を持ったまま生活保護を受けることはできません。

ただし状況によっては、自動車の保有が認められる場合もあります。

③親族等から援助を受けられないこと

親族などから援助を受けられる方は、生活保護の対象外となります。

また生活保護の審査の際には、親族などへの「扶養照会」が行われます。

これは仕送りなどの援助ができないか、親族などに問い合わせを行うことを言います。

世帯別・地域別の生活保護の受給額の例

ここからは、ケース別の生活保護の受給額の例について解説します。

①4つの生活保護の受給例

厚生労働省が公開しているケース別の生活保護の受給額の例は、以下のようになります。

3人世帯(33歳、29歳、4歳)
東京都区部等158,760円
地方郡部等139,630円
高齢者単身世帯(68歳)
東京都区部等77,980円
地方郡部等66,300円
高齢者夫婦世帯(68歳、65歳)
東京都区部等121,480円
地方郡部等106,350円
母子世帯(30歳、4歳、2歳)
東京都区部等190,550円
地方郡部等168,360円

実際の支給額は「家賃の支払いの必要があるか」「障害のある家族がいるか」などによっても変わってきます。

そのため上の金額はあくまで目安とお考え下さい。

また収入のある方が生活保護へ申し込む場合、支給額は「生活保護費-収入」の差額分となります。

②生活保護の受給額の計算方法

正確な生活保護費は、厚生労働省が公開しているPDFファイルを見て計算することができます。

この資料をもとに「20歳~40歳の人が、1級地-1のエリアで、家賃を支払いながら一人暮らしをする」場合の生活保護費を計算すると「130,010円」という結果が出ます。

ただし資料を見てもよく分からないという場合には、役所や窓口の人に計算してもらう形でも問題ないでしょう。

③医療費や介護費などは別途支給される

生活保護の対象となっている方は、医療費や介護費が請求されません。

その他、出産費用や葬祭費用、就職に必要な技能習得などに掛かる費用も実質的に無料となります。

そのため仮に収入が生活保護の受給額に近く、ほとんど給付を受けられない場合であっても、医療費の負担などを理由に生活保護へ申し込むことは十分に有用です。

生活保護へ申し込む流れ

ここからは、実際に生活保護へ申し込む流れについて解説します。

①申し込みから受給までの流れ

生活保護へ申し込む流れは、以下のようになります。

  1. お住まいの地域の福祉協議会に電話
    面談の予約を取る
  2. 面談
  3. 家庭訪問を含む
    調査(審査)
  4. 審査結果の連絡
    (14日以内)
  5. 窓口で保護費の支給

手続きがスムーズに進めば、1ヶ月以内に生活保護費の受給を受けられるでしょう。

②まずは「福祉事務所」などへ相談を

生活保護の窓口となるのは、お住まいの自治体に設置されている「福祉事務所」「保健福祉センター」などとなります。

名称は自治体によって異なりますが、窓口は必ず設置されています。

まずは「(市区町村名) 生活保護」といったキーワードで窓口を探し、電話を掛けて面談の予約を取ると良いでしょう。

その後は指定された通りの書類などを持って窓口へ向かい、面談を行います。

生活保護の必要性が認められた場合には、その場で申し込みの案内を受けることができます。

③審査結果は14日以内に通達される

申し込みの後は担当員による調査(審査)が行われます。

調査には扶養照会や家庭訪問を伴います。あらかじめご承知おきください。

審査結果は特別な事情がない限り、14日以内に通達されます。

また審査結果に納得ができない場合には、再審査の請求も可能です。

④初回は現金で生活保護費が受給される

調査の結果、生活保護の必要性が認められた場合には、もう一度指定された窓口へ向かう形となります。

初回の生活保護費は、このとき現金で受け取ることができます

ただし2度目以降の支給方法は、「原則毎月3日の銀行振込」となります。

生活保護の申し込みから初回の保護費の支給までの生活費が不足する場合には、「臨時特例つなぎ資金貸付制度」を利用できる場合があります。

生活保護の受給を続けるための条件

生活保護の必要性が認められた後であっても、無条件で受給を続けられるわけではありません。

ここからは、生活保護を継続的に受給する条件について解説します。

②収入の申告などの義務を果たすこと

生活保護を受給している間は、毎月の収入を正しく申告する必要があります。

この「収入」には、クレジットカードの利用や借金も含まれます

収入を過少申告し、適切な金額を上回る生活保護費を受給した場合には、保護が打ち切られるだけではなく不正受給分の返還を求められる可能性があります。

行政による、生活保護「以外」の融資制度や支援制度について

生活保護の必要性が認められなかった場合であっても、その他の支援制度を利用できる可能性があります。

その他の行政の支援制度の例

国民健康保険料の
減免等
仕様はお住まいの自治体により異なる

参考:東京都立川市ホームページ
生活困窮者
自立支援制度
就労の支援、家計改善の支援などの全般的なサポート
住居確保給付金家賃額を原則3ヶ月間支給
生活福祉資金
貸付制度
何らかの理由で一時的に生活に困窮している方に向けた融資(返済義務あり)
※その他求職者のための支援制度など
※その他、各都道府県などが独自の制度を設けていることがあります。

市役所の福祉課などでは、「生活に困窮しているが、自分がどの制度を利用できるか分からない」という場合にアドバイスを受けることができます。

生活保護を利用できるか分からないという場合であっても、まずはお住まいの自治体の窓口に相談してみると良いでしょう。

生活保護の申し込みや受給についてのよくある質問と回答

ここからは、生活保護に関するよくある質問にお答えしていきます。

①収入のある親族はいますが、DVなどを理由に頼ることができない場合はどうなりますか?

DVなど、特別な事情がある場合には扶養照会が行われません。

特別な事情がある場合には、面談の際に担当員へお伝えください。

夫の暴力から逃れてきた母子の場合は、夫に対して扶養照会をしないとされています。こういった事情にあてはまるときには、生活保護を申請した際、扶養照会をしてもらわないように伝えましょう。

出典:https://shinmama-fukuoka.com/qa/protect-04/

②借金があっても生活保護への申し込みは可能ですか?

可能ではあるものの、状況によっては自己破産などを求められる場合もあるようです。

③生活保護の受給中に、クレジットカードを利用できますか?

後払いが前提となるクレジットカードの利用は「収入」扱いとなるため推奨されません。

基本的には現金か、支払いの瞬間に引き落としが発生する「デビットカード」の利用をおすすめします。

④生活保護の受給中に、ローンを利用できますか?

ローンも「収入」の扱いとなり、給付額が減る理由となるため推奨されません。

ただし特別な事情がある場合には、行政の融資制度である「生活福祉資金貸付制度」などを利用できる場合もあるようです。

この場合は担当のケースワーカーに事情を話し、指示を仰ぐ形となるでしょう。

まとめ

ポイント
  • 生活保護を利用できるのは「親族などから援助を受けられず、資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮している」方
  • 収入があってもその金額が生活保護費を下回っているのなら、この制度を利用できる可能性がある
  • 申し込み口は主に市区町村の「福祉事務所」
    生活保護以外の制度を利用すべき場合であっても、ここでアドバイスを受けられるのでまずは相談してみよう

生活保護が必要になる可能性は誰にだってあります。

持てる資産などをすべて使っても生活が厳しいという場合には、まずはお住まいの自治体の窓口に電話を掛けてみると良いでしょう。

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