職業訓練受講給付金を受給していても生活費が十分でない方は、「求職者支援資金融資」を利用できる可能性があります。
この制度を利用すると、職業訓練受講給付金に加え毎月5万円または10万円のお金を「借りる」ことができます。
今回は「求職者支援資金融資」の概要と利用条件、申し込みの流れについて分かりやすくまとめました。
求職者支援資金融資とは
まずは求職者支援資金融資の概要について解説します。
①「職業訓練受講給付金」を受給する予定の方のみ申し込める融資制度
求職者支援資金融資とは、職業訓練受講給付金を受給する予定の方のみが利用できる融資制度です。
職業訓練受講給付金とは、雇用保険を受給できない方がハローワークの指示で職業訓練を受講するときに受け取れる、月10万円の給付金です。
求職者支援資金融資は、この月10万円の給付金をもっても生活が厳しい場合に利用できます。
職業訓練受講給付金とは異なり、あくまで「融資」の制度である点についてはご注意ください。
この制度で借りたお金は、後に返済する必要があります。
②貸付額は月5万円または10万円まで
求職者支援資金融資の貸付額は以下の通りです。
同居または生計を一にする別居の 配偶者、子または父母のいずれかがいる場合 |
---|
最大で月10万円 |
上記に該当しない場合 |
最大で月5万円 |
貸付期間は原則として、12ヶ月までとなります。
また貸付額は、1万円単位で必要分のみを設定することができます。
★お住まいの地域によっては貸付の上限額などが異なる場合があります。
詳細についてはハローワークにお尋ねください。
求職者支援資金融資へ申し込む2つの条件
ここからは、求職者支援資金融資へ申し込む条件について解説します。
①職業訓練受講給付金の支給決定を受けていること
先述の通り、求職者支援資金融資を利用できるのは職業訓練受講給付金を利用予定の方に限られます。
そのため求職者支援資金融資へ申し込むためには、「職業訓練受講給付金の支給決定を示す書類」が必要となります。
この書類は職業訓練受講給付金の支給が決定した際、ハローワークで受け取ることができます。
②ハローワークで、求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けていること
職業訓練受講給付金の受給が決定した方すべてが、求職者支援資金融資を利用できるとは限りません。
融資を受けるためには、ハローワークで「職業訓練受講給付金の支給決定を示す書類」とは別に「求職者支援資金融資要件確認書」という書類を受け取る必要があります。
この書類は、融資を希望する理由が適当と判断された場合に発行されます。
③担保や保証人は不要
求職者支援資金融資を利用する上で、担保や保証人は不要です。
ただしその代わり、この融資制度を利用するには所定の審査に通過する必要があります。
★その他、お住まいの地域によっては追加の申込条件が設けられている場合があります。
例えば福岡県求職者支援資金融資制度では「離職時の事業所に1年以上勤務していた方」という申込条件が加えられています。
申込条件の詳細については、ハローワークにお尋ねください。
求職者支援資金融資の審査に通過する条件とは
求職者支援資金融資を利用するには、実質的に2度の審査に通過する必要があります。
ここからは、その通過条件について解説します。
①ハローワークでの審査について
求職者支援資金融資を利用するためには、まずハローワークで「求職者支援資金融資要件確認書」を受け取らなければなりません。
この書類を受け取る条件は以下の通りです。
- 貸付を希望する理由が適当と認められる
- 貸付金を返済する意思があると認められる
- 暴力団員ではない
融資を受けるための理由が曖昧だったり、返済の意思や計画性がないと判断された場合には、承認が下りない可能性があります。
融資を受けたい場合にはその理由や目的を明確に説明できるよう、前もって準備しておきましょう。
②労働金庫での審査について
求職者支援資金融資を取り扱うのはお住まいの地域の「労働金庫(ろうきん)」です。
労働金庫は個人信用情報機関に加入しています。
そのため申込者の信用情報に著しい問題がある場合などには、融資を受けられない可能性があります。
- クレジットカード、各種ローン、後払いなどの支払いを「61日または3ヶ月」以上延滞し、その解消と解約から5年が経過していない
- クレジットカード、各種ローン、後払いなどに関する契約で5年以内に強制解約処分を受けた
- 債務整理から5年が経過していない
┗任意整理の場合は一般に、「残債の清算から」5年が経過していない
※その他、代位弁済や債権回収など
またカードローンなどを現在進行形で延滞している場合には、その期間にかかわらず審査通過が難しくなるでしょう。
求職者支援資金融資へ申し込む流れ
求職者支援資金融資へ申し込む流れは以下の通りです。
求職者支援資金融資
申し込みの流れ
※ハローワークで手続き可能
ついての相談
必要書類の発行
※口座をお持ちでない場合は新規開設
基本的な案内は、いずれもハローワークで受けることができます。
融資を希望する場合は、まずハローワークの窓口に相談してみると良いでしょう。
また融資が下りるまでには、数週間を要することが一般的です。
★借入を急ぎたい場合には、行政による融資制度「生活福祉資金貸付制度」の「緊急小口融資」を利用できる可能性があります。
求職者支援資金融資の返済と注意点
ここからは、融資を受けた後の返済方法について解説していきます。
①返済方法は「労働金庫の口座からの自動引き落とし」
求職者支援資金融資の返済方法は「労働金庫の口座からの自動引き落とし」です。
労働金庫の口座をお持ちでない場合は、申し込みの際に新しく口座を開設する必要があります。
毎月の引き落とし日は労働金庫によって異なります。
②訓練終了月の3ヶ月後までは利息のみの返済が可能
求職者支援資金融資では、訓練終了月の3ヶ月後までの元金据置期間が設けられています。
この期間中までは、毎月利息のみの返済が可能です。
金利の設定はお住まいの地域によって異なります。
例えば年利3%、融資額が50万円の場合、1ヶ月あたりの利息は750円前後となります。
③4ヶ月後から回数分割払いで返済
元金据置期間が終了した後は、元金を回数分割払い(元利均等毎月返済)で支払う形となります。
支払い回数は返済計画に応じ、労働金庫の方と相談しながら申し込みの際に決定する形となります。
例:50万円を36回払いで返済する場合、月当たりの返済額は14,540円前後(金利3%の場合)
④債務残高の全額を一括返済が求められる場合について
もしも求職者支援資金融資を利用している間に訓練を辞める形となった場合には、労働金庫で契約変更の手続きを行う必要があります。
この手続きを怠った場合、融資額の一括返済を求められますのでご注意ください。
契約変更の手続きを行えば、分割払いによる返済が可能です。
また求職者支援資金融資の不正受給が発覚した場合などにも、融資額の一括返済を求められる可能性があります。
まとめ
- 求職者支援資金融資とは「職業訓練受講給付金」を利用しても生活費が不足する場合に利用できる融資制度
- 求職者支援資金融資を利用するには、ハローワークと労働金庫の両方の承諾を得る必要がある。
労働金庫は個人信用情報機関に加盟しているため、信用情報に問題があると審査落ちとなる可能性がある - 返済は労働金庫の口座を使って行う。
訓練終了の3ヶ月後までは利息のみの返済が可能
求職者支援資金融資は返済の義務があるとは言え、「職業訓練受講給付金」を利用しても生活が厳しい場合に頼りとなります。
求職者支援資金融資や、その前提条件となる「職業訓練受講給付金」の窓口となるのはハローワークです。
まずはハローワークに、融資や給付を受けたい旨の相談を行うと良いでしょう。
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