親からお金を借りる時に贈与税が発生してしまう条件と回避方法

    親からお金を「借りる」場合であっても、その金額や返済方法によっては贈与税が発生してしまう可能性があります。

    そして贈与税を未納した場合のペナルティは、決して軽くありません。

    今回は親族間の貸し借りでも贈与税が発生してしまう条件や、その回避方法を分かりやすくまとめました。

    親からお金を借りたのに贈与税が発生してしまう条件

    まずは親からお金を「借りた」にもかかわらず、「贈与税」が発生してしまう条件について解説します。

    ①贈与税が発生する条件とは

    贈与税が発生するのは、年110万円を超える「贈与」が行われた場合です。

    贈与とは、何かを見返りなく与えることを言います。

    つまり、年110万円相当超のお金や物品を誰かに「あげる」場合、贈与税が発生します。

    逆に言うと、贈与する金額が年110万円相当以下であったり、返済が前提となる「貸し借り」である場合、贈与税は発生しません

    ★贈与税は現金だけでなく、動産や不動産の贈与にも適用されます。

    ②貸し借りの名目でも返済方法が曖昧だと「贈与」と見なされる可能性がある

    見返りなく何かを与える「贈与」と、返済が前提となる「貸し借り」は異なります。

    そのため、誰かと「貸し借り」を行う場合に贈与税は発生しません

    ただし返済期間が定められていない場合などには、貸し借りの名目であっても実質的な「贈与」と見なされる場合があります。

    年110万円超の贈与があっても贈与税が発生しない場合

    ここからは、年110万円超の贈与があっても贈与税が発生しない「例外」について解説します。

    ①「住宅取得等資金」であれば、最低でも500万円は非課税

    両親や祖父母といった直系尊属から、家を建てたり増改築したりするためのお金(住宅取得等資金)を贈与された場合、500万円または1000万円までの贈与が非課税となります。

    1000万円までの贈与が非課税となるのは、「省エネ等住宅」として認められた住宅を新築したり、増改築したりする場合です。

    ただし「住宅取得等資金」として認められるのは、本人が居住用するための住宅に限られます。

    不動産投資などのための住宅を建築するために贈与を受けた場合には、贈与税が発生します。

    ★貰い受けた資産が「住宅取得等資金」であることを示すためには、所定の手続きが必要となります。

    詳細については以下の公式サイトをご確認ください。

    CHECK国税庁公式サイト「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

    ②結婚・子育てに関係する資金であれば1000万円まで非課税(例外あり)

    両親や祖父母といった直系尊属から、結婚や子育てのためのお金を受け取った場合、年1000万円までは贈与税が発生しません

    ただし贈与をした人の「前年分の所得税に係る合計所得金額」が1000万円を超える場合には、この制度が適用されません。

    またこの制度が適用されるのは、贈与を受ける人が「18歳から50歳」の間である場合に限られます。

    CHECK国税庁公式サイト「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」

    ③「生活費や教育費として、必要と認められる」のなら金額に関わらず非課税

    夫婦や親子、兄弟姉妹といった扶養義務者から、生活費や教育費に充てるためのお金の贈与を受けた場合、その全額が非課税となります。

    ただし生活費の名目で受け取ったお金を貯金したり、その他の目的に利用した場合には、贈与税が発生する可能性があります。

    ④両親や祖父母が60歳以上であれば、「相続時精算税」を利用可

    60歳以上の直系尊属が18歳以上の子や孫に贈与を行う場合には、「相続時精算税」という制度を利用できます。

    この制度では2500万円相当を上限として、贈与税の発生を防ぐことができます。

    この制度を利用するためには、最初の贈与を受けた年の「翌年2月1日から3月15日までの間」に、税務署で申告手続きを行う必要があります。

    CHECK国税庁公式サイト「相続時精算課税の選択」

    ★他にも贈与税についての例外は存在します。
    詳細については国税庁の公式サイトをご覧ください。

    贈与税の金額とその計算方法

    贈与税は、以下のように計算されます。

    直系尊属(主に親、祖父母)が18歳以上の子、孫に
    110万円超を贈与する場合(特例贈与財産用)の贈与税
    基礎控除(原則110万円)を差し引いた後の残額
    200万円
    基礎控除(原則110万円)を差し引いた後の残高の10%

    200万円超
    ~300万円
    同15%
    -10万円
    同300万円超
    ~400万円
    同20%
    -25万円
    同400万円超
    ~600万円
    同30%
    -65万円
    同600万円超
    ~1000万円
    同40%
    -125万円
    同1000万円超
    ~1500万円
    同45%
    -175万円
    同1500万円超
    ~3000万円
    同50%
    -250万円
    同3000万円超同55%
    -400万円

    例えば親(または祖父母)から子(孫)に800万円相当の贈与があった場合、発生する贈与税は151万円となります。

    (800万円-110万円)×0.4-125万円=151万円

    また贈与税が発生する場合には、確定申告による申請が必要となります。

    ★直系尊属以外が贈与を行う場合の金額は上記と異なります。
    その場合の取り決めについては国税庁公式HP情報をご確認ください。

    贈与税を支払わないとどうなるの?

    贈与税が発生する場合であるにもかかわらず、それを申告しなかった場合には、「無申告加算税」「延滞税」といったペナルティが取られる可能性があります。

    特に「無申告加算税」は贈与「税」額に対し最大20%と、非常に高額です。

    税務署は資産の動きなどをもとに、脱税が行われていないか常に調査しています。

    贈与税を「申告しない」リスクは非常に高いと言って良いでしょう。

    実際、令和元年分の国税庁の資料では年3,217件の贈与が「申告漏れ」等と見なされ、追尾徴税などを課されていると分かります。

    親からお金を借りるときの注意点

    ここからは、親から「贈与税を発生させずに」お金を借りるための注意点について解説します。

    ①年110万円超の貸し借りであれば借用書を作成する

    年110万円超の貸し借りを行う場合には、それが贈与でなく貸し借りであることを示す「借用書」の作成をおすすめします。

    この借用書には、きちんと返済期限や返済方法を明記しておきましょう。

    借用書の規定通りに返済を進めていけば、仮に贈与を疑われても、名実ともに「貸し借り」であることを証明できます。

    CHECK法的拘束力のある借用書の作り方

    ★金利の設定は自由です。

    ②親からお金を借りるときの言い訳には何がある?

    親からお金を借りる場合の言い訳や理由には、「自動車の購入」「冠婚葬祭」などが用いられることが多いです。

    基本的には「借りたお金の使い道を明確に示す」ことが重要と言えるでしょう。

    これは金融機関からお金を借りたいという場合であっても同様です。
     

    まとめ

    ポイント
    • 贈与税は年110万円超の贈与を受けた場合に発生する。
      ただし直系親族から住宅の取得や結婚・子育て、生活費の贈与を受ける場合などはその限りでない
    • 贈与税が発生しているにもかかわらずこれを申告しなかった場合、贈与税が最大20%上乗せされる「無申告加算税」などを課せられる可能性がある
    • 親から110万円を超えるお金を借りる場合には、返済方法を明確に定めた「借用書」を作ると安心

    家族からお金を借りた場合であっても、返済方法が不明瞭な場合などには贈与を疑われる可能性があります。

    家族から大きなお金を借りる場合には事前に借用書を作成し、それに則った返済を行うと良いでしょう。

    ただし住宅の取得のためのお金を受け取る場合など、贈与税が非課税となる場合であればその限りではありません。

    CHECK法的拘束力のある借用書の作り方

    

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