生命保険でお金を借りる「契約者貸付」とは?家族や担当者にバレずに使える?

生命保険でお金を借りる「契約者貸付」とは?家族や担当者にバレずに使える?

終身保険や養老保険といった「解約返戻金」が発生する生命保険に加入しているのなら、保険会社からお金を借りられる可能性があります。

この制度は「契約者貸付」と呼ばれ、低金利かつ無審査で利用できるのが特徴です。

今回は「契約者貸付」のメリット・デメリットや利用条件、実際の使い方についてまとめました。

目次

生命保険を使ってお金を借りる「契約者貸付」とは

まずは生命保険会社からお金を借りる「契約者貸付」の概要について解説します。

①「解約返戻金」を担保にして、生命保険を解約せずにお金を借りられる

「契約者貸付」とは、生命保険の「解約返戻金」を担保にお金を借りられる制度を言います。

解約返戻金とは、一言で言うと「今すぐ保険を解約すれば返ってくるお金」です。

契約者貸付を利用すれば、保険を解約することなく「解約返戻金」の範囲内でお金を借りることができます。

②利用できるのは終身保険や養老保険を契約し、契約返戻金が発生している方

解約返戻金が発生するのは、主に「終身保険」や「養老保険」、「学資保険」です。

掛け捨ての保険に加入している場合や医療保険にのみ加入している場合は、契約者貸付を利用できませんのでご留意ください。

また「終身保険」などに加入している場合でも、加入期間が短い場合には貸付の対象とならなかったり、借入可能額がごく少額となる可能性があります。

③今すぐ解約すれば戻ってくるお金だから、審査なしかつ総量規制の対象外

契約者貸付で借りられるのは、「今すぐ保険を解約すれば戻ってくるはずのお金」です。

その仕様のため、この借入方法は申込者の職業や信用情報を問わず、無審査で利用できます。

また総量規制の対象にもならないため、すでに貸金業者から多額のお金を借りている場合でも利用可能です。

④金利は契約の時期により変動するが、無担保のカードローン等よりは低金利

契約者貸付の貸付金利は、保険に加入した時期によって異なります。

ただし「今すぐ解約すれば返ってくるお金」が担保となっていることもあり、金利は高くても数%程度です。

無担保のカードローンなどに比べると、非常に低金利と言えるでしょう。

第一生命の「契約者貸付」利率

保険に加入した時期金利(年)
1994年4月1日以前5.75%
1994年4月2日
~1996年4月1日
4.75%
1996年4月2日
~1999年4月1日
3.75%
1999年4月2日以後3.00%

契約者貸付を利用したことは家族や担当者にバレる?

契約者貸付は誰にも知られず利用できる借入方法なのでしょうか。
実際に、保険外交員に尋ねてみました。

①生命保険の担当者に隠すことはできない

身内の保険外交員に尋ねてみたところ、契約者貸付を利用したことは担当者に必ず知られてしまうとのことでした。

インターネットやコールセンターなどを通して申し込みを行った場合であっても、担当者には「いつだれが契約者貸付を利用した」という連絡が入ります。

保険会社によって違いがある可能性は否定しきれないものの、基本的に担当者に知られず契約者貸付を利用することはできないと考えて良いでしょう。

②自宅に郵送物は送られてくるが、要件は伏せられている

契約者貸付を利用すると、自宅に保険会社からの郵送物が届きます。

ただしこの郵送物を外から見ただけで、「契約者貸付を利用した」ことは分かりません。

保険会社からの郵送物を開封されなければ、家族に知られず契約者貸付を利用することも可能でしょう。

保険会社によって相違がある可能性があります。

契約者貸付の借入可能額(利用限度額)を確かめる方法

契約者貸付の借入可能額(利用限度額)は、加入している生命保険のインターネット会員サービスやコールセンター等を通して確認できます。

どの生命保険会社に加入している場合あっても、会員ページにログインすると、「契約者貸付」についての項目を見ることができるでしょう。

ログイン方法が分からない、借入可能額が確認できないという場合には、加入している生命保険の担当者に直接尋ねてみるのも有効です。

一般に契約者貸付を通して借りられるのは、解約返戻金の9割程度までとなります。

「契約者貸付」申込み~融資の流れと必要日数

ここからは、実際に「契約者貸付」を利用する流れについて解説します。

①契約者貸付の申し込み方法

契約者貸付は、インターネット会員サービスやコールセンター、担当者への連絡などを通して申し込むことができます。

インターネット会員サービスを通し、利用可能額を確認した上で申し込みを行えるのなら、それが一番手軽でしょう。

「契約者貸付」の融資方法は「銀行振込」です。

振込希望額は、申し込みの際に利用可能額の範囲内で設定することができます。

②契約している保険会社によっては即日融資も可能

申し込み~融資の実行までに必要な時間は保険会社によって異なります。

ただし契約者貸付は無審査で利用できるため、契約先や申し込みの時間帯によっては即日融資も可能となっています。

○インターネットサービス(Web-ATM)の場合
  
<月曜日~金曜日>
午前9時~午後6時50分までのお手続き
:当日中に着金いたします。

<月曜日~金曜日>
午後6時50分以降のお手続き
:翌営業日に着金いたします。

<土曜日>
:翌営業日に着金いたします。

出典:https://www.daido-life.co.jp/

契約者貸付の返済方法について

ここからは、契約者貸付で借りたお金の返済方法について解説します。

①契約者貸付に返済日や返済期限はない

契約者貸付に、特定の返済日や返済期限はありません

契約者貸付を利用した方は余裕のあるとき、任意のタイミングで返済を行うことができます。

②返済方法は「銀行振込」や「ペイジー」など

契約者貸付の返済方法は、契約を結んでいる生命保険会社によって異なります。

どの生命保険会社でも利用できるのは「銀行振込」を使った返済です。

ただし借入先によってはコンビニATMや「ペイジー(Pay-easy)」などを使った入金も可能です。

③借入を放置し利息が膨らむと、保険会社から返済を要求される可能性あり

「契約者貸付」に特定の返済期日はありません。
そのためお金を借りたまま、放置し続けることも可能ではあります。

ただし契約者貸付を1年間返済しないと、その借入額が借入元金に組み込まれます。

結果として、「利息に利息が発生する」形となり、利用者にとって不利益が大きくなります。

また利息が膨らむことで借入額が解約返戻金を超過しうる場合には、保険会社から返済を要求されてしまいます。

特定の返済期日がないとは言え、できる限り早く借入残高を清算するに越したことはないでしょう。

また契約者貸付を利用したまま保険が満期を迎えた場合には、その分だけ満期保険金が減額されます。

ご契約者に対する貸付金の額と利息の合計額がご契約の解約払戻金をこえる場合には、ご契約の効力がなくなります。

出典:https://www.daido-life.co.jp/

契約者貸付についてのよくある質問と回答

ここからは、契約者貸付に関するよくある質問にお答えしていきます。

①契約者貸付を利用することにデメリットはありますか?

考えられるデメリットとしては、以下の内容が挙げられます。

契約者貸付のデメリット
  • 契約返戻金の範囲内でしか借りられない
  • 特定の返済期日がないため、お金の管理に自信がない方には向かない
  • 保険の担当者に知られず借りることができない

上記のデメリットが気になる場合には、その他の借入方法を検討したほうが良いでしょう。

一方、メリットとしては「審査が無いこと」「一般的な無担保ローンよりも低金利であること」が挙げられます。

②契約者貸付を利用した記録は、個人信用情報機関に残りますか?

いいえ、契約者貸付は無審査で利用できる借入方法です。
個人信用情報機関に、一切の記録は残りません。

③家族が加入している保険を使って借りられますか?

実際に契約者貸付を利用できるのは、契約者本人のみです。

ただし「ご家族登録制度」を利用しているのであれば、この制度を使い「解約返戻金や利用可能額の確認」が可能な場合があります。

ご家族登録制度とは、ご契約者様がご親族(以下、ご家族)の連絡先などの情報を事前に当社へ登録することで、ご契約者様だけでなく登録されたご家族でも、「契約内容のご確認」や「手続書類の送付依頼」ができる制度です。

出典:https://www.metlife.co.jp/

④契約者貸付を利用できない人が使える借入方法には、何がありますか?

契約者貸付と同じく、利用可能額の範囲内で自由に使える借入方法としては「カードローン」が挙げられます。

ごく一部の例外を除き金利は「契約者貸付」よりも高くなります。

ただし解約返戻金の有無や金額にかかわらず利用できるため、「契約者貸付を利用できない」場合には有効な借入方法だと言えるでしょう。

まとめ

ポイント
  • 「解約返戻金」が発生している保険に加入しているのなら、それを担保に「契約者貸付」を利用できる可能性がある
  • 無審査だから、他社借入の状況や信用情報に問題があっても借りられる
  • 借入可能額の申し込みの手続きは、インターネット会員サービスやコールセンター、担当者への連絡を通して行える
  • 特定の返済期日は無いものの、利息が膨らみ過ぎると契約の効力がなくなる(=強制解約)可能性がある。
    可能な限り早く返済することを心がけたい

十分な「解約返戻金」が発生している方にとって、「契約者貸付」は非常に条件の良い借入方法となります。

返済期日が無いとは言え、できる限り早く債務を清算することを念頭に置いて、この制度を活用したいところです。

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