罰金が払えない時の対処法:分割払いはできるのか

罰金が払えない時の対処法:分割払いはできるのか

「スピード違反の運転で交通事故を起こし、罰金を支払うことになってしまった。
だけれど、こんな金額とても一度には払えない……」

原則として、罰金は一括で支払うもの。これをこなせない場合には労役場というところで働かされることになります。(刑法18条)

ただし、何事にも例外はつきもの。
担当の検察官への相談次第では、支払期限を延ばしてもらったり、ある程度まで支払いを分割してもらえる可能性もあります。(刑法16条)

今回は罰金を請求されているご本人、もしくはそのご家族であるあなたに向けて、その支払い義務をできる限り無理なく果たす方法についてまとめました。

読み終えていただければ、現状を打破するヒントを掴むことができますよ。

このページは、すでに「××万円の罰金を科す」といった処罰が裁判所から発せられ、刑が確定している方を対象としています。

交通違反の反則金や民事訴訟の賠償金、税金・公共料金の延滞金などは刑事罰である(=前科が付く)「罰金」と異なります。以下の当該ページをご覧ください。

目次

罰金が支払えないとどうなるの?答えは強制的な「労役」

請求された罰金が支払えない場合について、刑法は以下のように規定しています。

罰金を完納することができない者は、一日以上二年以下の期間、労役場に留置する。

出典:刑法十八条より

労役場とは、文字通り働く場所のこと。つまりあなたの労働で発生したお金を罰金の支払いに充てるわけですね。
特に明文化されているわけではありませんが、一般的には労働1日あたり「5,000円」を弁済したと見なされることが多いようです。

あくまで懲役刑ではなく、「罰金刑」の人が行くところではありますが、扱いとしては大差ない模様。
支払いを終えたとみなされるまでは、労役場に身を置くことになります。自由に外に出ることはできません。

というわけで、例えば罰金の請求額が15万円であるなら、多くの場合で30日間の労役に就くことになります。
短期ならまだしも長期の労役が必要になった場合、今後のお仕事などに支障が出ることは避けられないでしょう。

検察側にも受け入れ態勢を整える必要がありますので、実際に労役に出るまでには時間が掛かることも多いようです。
状況にもよりますので、担当の検事にご相談ください。

罰金の支払いと労役のどちらをも拒否し続けた場合、強制的に身柄を拘束(勾引)される可能性があります。

罰金の一括払いと労役のどちらも困難な場合には

「罰金の一括払いは難しい、でも労役場に行くわけにもいかない……」そんなときには一体どうすればいいのでしょうか?
考えられる方法を紹介していきます。

①徴収担当の検事さんに相談を行うのがベスト、ただし認められるとは限らない

罰金を支払えない場合、まず取るべき行動は「担当の検事さんに相談する」こと。
2回くらいまでの分割払いであれば、応じてくれることも多いようです。
ただし、検察側にあなたの要求を呑む義務はないという点についてはあらかじめご了承ください。

徴収金について納付義務者から納付すべき金額の一部につき納付の申出があった場合において,徴収主任は,事情を調査し,その事由があると認めるときは,一部納付願を徴して検察官の許可を受けるとともに,検察システムによりその旨を管理する。

出典:徴収事務規程十六条より

前条前段の規定は,徴収金について納付義務者から納付延期の申出があった場合に準用する。

出典:徴収事務規程十六条より

あなたの置かれた状況や支払い能力によっても大きく変わってくるので、どうしてもという理由があるのなら真摯に相談してみてください。

②一部でも支払いを行えば労役期間は短くなる

全額の支払いが難しいという場合、「一部分を現金で、一部分を労役でまかなう」という方法を取ることもできます。

例えば罰金が20万円で、このうち15万円までは今すぐ支払える、というとき……。

労役でまかなわなければならないのは5万円分。一日1,000円として換算すると、10日間分ですね。
この方法を取りたい場合についても、検察の方にご相談ください。

カードローン・キャッシングの利用はすべての人におすすめなわけではない

あなた(またはあなたの配偶者)が働いて収入を得ているのなら、

  • カードローン
  • クレジットカードのキャッシング枠

等を使って一時的にお金を借り、これを罰金の支払いに充てる方法も有効です。

…が、お金を借りた後には当然「返済」が必要。
特に「お金を借りてなお罰金を支払いきれず、労役に行く必要がある」といった場合には、毎月の返済能力にも影響が生じますのでご注意ください。

基本的に、こういった「借入」による問題解決は、「お金を借りることで、罰金全額を支払える」場合にのみおすすめできる方法となります。

気になるのはその借入可能額(限度額)ですが…。
あなたが「安定収入のある正規雇用者」であるのなら、

  • 即日融資対応の消費者金融…30万円~50万円程度
  • 銀行や信用金庫のカードローン…50万円~

となることが多いですね。もちろん業者やあなたの置かれた状況によっても差がありますので、あくまで目安程度にお考え下さい。

アルバイトや自営業者等の場合、借入可能額はより低くなることが多いです。
借入可能額は多くの場合、申込者の意志にかかわらず審査によって決定します。

反社会勢力に属している場合、カードローンは利用できません。

①借入を急ぐのなら即日融資対応の消費者金融系カードローンを選ぼう

あなたが急いで罰金支払いのためのお金を借りたいのなら、最短1時間で融資を受けられる消費者金融系のカードローンを選びましょう。

ユーザーサービスに優れるのは「プロミス」「レイクALSA」ですが…。
「現在ブラック状態である」「極力大きなお金を借りたい」という場合には、その他の金融機関も申込み先候補になるだろうと思います。

大手消費者金融の比較

プロミス・上限金利17.8%
・30日間無利息
ほぼ24時間振込
・郵送物なしでの契約が容易
レイクALSA・上限金利18.0%
60日間または180日間5万円以下無利息
(ネット申込の場合)※1
ほぼ24時間振込
・郵送物なしでの契約が容易
アコム・上限金利18.0%
・30日間無利息
ブラックや多重債務に寛容
アイフル・上限金利18.0%
・初めての方は最大30日間無利息
・郵送物なしでの契約が容易
SMBCモビット・上限金利18.0%
・他社ご利用の方でも審査可能、ただしお客様のご状況によってご利用いただけない場合もございます(ブラックには厳しい)
・大手の中では最も限度額(借入可能額)が高い傾向あり
※1

≪60日・180日共通の注釈≫
※初めてなら初回契約翌日から無利息
※無利息期間経過後は通常金利適用。
※30日間無利息、60日間無利息、180日間無利息の併用不可。
※ご契約額が200万超の方は30日無利息のみになります。
≪60日間無利息の注釈≫
※Webで申込いただき、ご契約額が1~200万円の方。
※Web以外で申込された方は60日間無利息を選べません。
≪180日間無利息の注釈≫
※契約額1万円~200万円まで
≪貸付条件≫
融資限度額 1万円~500万円
貸付利率 4.5%~18.0%
ご利用対象 年齢が満20歳以上70歳以下の国内に居住する方,ご自分のメールアドレスをお持ちの方,日本の永住権を取得されている方
遅延損害金(年率) 20.0%
ご返済方式 残高スライドリボルビング/元利定額リボルビング
ご返済期間・回数 最長5年、最大60回
必要書類 “運転免許証
※収入証明(契約額に応じて、新生銀行フィナンシャルが必要とする場合)
担保・保証人 不要
※商号:新生フィナンシャル株式会社
※貸金業登録番号:関東財務局長(10) 第01024号 日本貸金業協会会員第000003号

②高い限度額を獲得しやすいのは銀行(特にインターネット銀行系)や信用金庫のカードローン

比較的高額(50万円~)のお金を用意する必要があるのなら、優先されやすいのは銀行(特にインターネット銀行系)や信用金庫のカードローン。
銀行や信用金庫は法律の制限が消費者金融よりゆるいこともあり、比較的大きなお金を借りやすくなっています。

…が、高い限度額を得るためには相応の属性(ステータス)や返済能力が必須となりますのでご承知おきください。
基本的にはまず、普段から口座を使っている金融機関のローン商品をチェックしてみることをおすすめします。

カードローン契約を結ぶのは、「金融機関から提示された契約条件」に納得できた場合のみで構いません。
借入可能額が必要額に満たなかった場合には、契約のキャンセルも可能です。

罰金の支払いを拒否し続けた場合にはどうなる?

「罰金を支払う能力があるにもかかわらず、これに応じない」場合には、強制的な財産の没収、つまり「差し押さえ」が行われる可能性があります。
民間の借金トラブルと異なり、罰金の踏み倒しを行おうとした場合の差し押さえには裁判所を介する必要がありません。(=差し押さえが実施されるまでが比較的早い)
支払い能力があるのなら、早い段階で義務を果たしておくに越したことはないでしょう。

  1. 罰金、科料、没収、追徴、過料、没取、訴訟費用、費用賠償又は仮納付の裁判は、検察官の命令によってこれを執行する。この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
  2. 前項の裁判の執行は、民事執行法(昭和54年法律第4号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従ってする。ただし、執行前に裁判の送達をすることを要しない。
刑事訴訟法第490条より

罰金と労役に関するよくある質問と回答

最後に、罰金と労役に関する一般的な質問についてお答えしていきます。

①生活保護受給者であっても、罰金または労役は必須となるのですか?

刑事罰ですので、生活状況は関係ありません。

生活保護受給者に懲役判決が下されれば刑務所に行かなければならないのと同様、罰金にも支払い義務があります。
これを支払えない場合には、労役に出ることになります。

ちなみに労役期間中、生活保護受給は停止されます。

②病気があり、罰金の支払いも労役に出ることも難しいのですが……。

個人的な事情がある場合には、検察へ相談してください。
(病気がある、小さい子供など扶養家族がいるなど)

ちなみに労役作業自体は非常に単純で、肉体的負担は少ないことが多いようです。

③労役場はどんなところにありますか?

刑務所や拘置所などの一室を借りて利用していることが多いようです。
刑が違いますので、懲役刑の受刑者たちと同じ部屋で作業などを行うことは無いでしょう。

④労役場留置が必要になった場合、自宅や職場に検察が来るのでしょうか?

罰金の支払いも、労役場に行くことも拒否した場合にはその可能性もありますが……。
検察から届く通知に応じて自分から出向けば、わざわざお迎えが来ることはありません。

ちなみに実際にいつ呼び出しが行われるかは、受け入れ準備など先方の事情もありますので何とも言えないところです。

⑤罰金の支払い後、さらに賠償金などが必要になることはありますか?

はい、あります。

罰金は加害者から被害者へ、ではなく、罪を犯した人が「国に」支払うお金です。

刑事告訴(検察が行う裁判、略式裁判含む)と民事裁判(個人が行う裁判)はまったく別物で無関係ですので、被害者があなたを起訴すれば損害賠償が必要になることは大いに考えられます。

⑥息子が無免許運転で人身事故を起こしました。罰金は私が支払っても良いのでしょうか?

はい。
教育上のいかんはさておき、刑事事件における罰金の出所は問われませんので、第三者がお金を出してもかまいません。

まとめ

ポイント
  • 罰金刑が確定したら、出来ることは「罰金を支払う」「労役に出る」ことの2つだけ。両方を組み合わせることも可
  • 一括払いは難しいが労役も困る、という場合には徴収の担当者である検事へ相談を。場合によっては分納や期間延長が認められるかも……ただし過信はNG
  • 罰金の金額がさほど大きくないのなら、外部からお金を借りて支払いに充てるのも選択肢に入る

故意かそうでないかはさておき、犯罪を犯してしまいその罪が確定したのなら、都合よく逃げることはできません。
とは言え個人的な事情によっては臨機応変に対応してもらえる可能性もありますので、まずは担当の検事さんとよくお話しされることをおすすめします。

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